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台湾×東村山・小平・東大和|文化・食・歴史を巡る旅

【台湾・嘉義市】取材拒否の店に取材に入った日

更新)

静かな街に広がる、ベトナムの一杯「安南河粉」

台湾・嘉義。

 

阿里山の玄関口として知られるこの街は、台南や高雄と比べてもどこか静かで、時間の流れがゆるやかだ。そんな嘉義で、ひときわ異質な空気を放つ店に出会った。観光地でもなく、派手な看板もない。しかし、店の前には人が並ぶ。そして基本、取材は断られる店(スタッフが大変になってしまうため)。今回、日本のメディアでもダメということだったが、東村山、小平、東大和のローカルメディアで林業と日本統治の共通点から取材しているということで特別に話を聞くことができた。

写真から作られた檜のカード

「安南河粉」とは何か

 

「安南河粉(アンナンフーフェンĀnnán Héfěn)」。言葉だけ聞くと聞き慣れないが、これはベトナム料理の「フォー」を指す。

  • 「安南」=ベトナム中部の古称
  • 「河粉」=中国語で米麺

つまりベトナムのフォーレストランである。

なぜ嘉義だったのか

 

店主に聞いた。

 

「為什麼會選在嘉義開這家店?」(なんで嘉義でお店を開いたの?)

 

返ってきた答えは、驚くほどシンプルだった。

 

「嘉義比較小、喜歡鄉下,沒有壓力,生活比較慢比較舒服」(嘉義は小さくて、田舎が好き。プレッシャーがなくて、生活がゆっくりで心地いい)

 

これは観光ガイドには載らない、嘉義人の視点だ。さらに印象的なのはこの話。

 

「以前東區的人不去西區」(昔は東区の人は西区に行かなかった)

 

つまり嘉義は、外から見れば小さな街でも、内部でははっきり文化が分かれている場所でもある。

 

70年前の檜の家で食べるフォー



この店のもう一つの特徴が、空間だ。約70年前の家屋を改装、建物はすべて檜(ヒノキ)、店主はこう言う。

 

「空氣不一樣」
(空気が違う)

 

実際に入ると分かる。

  • 湿度
  • 香り
  • 音の響き

そこには台湾でもベトナムでもない、東南アジアに通じる空気感がある。

 

「料理人」であるということ

 

この店の核は、技術でもブランドでもない。

 

「我是個煮東西的人」
(私は料理をする人間だ)

 

18年前、ベトナムに行き「これはいける」と感じたことがすべての始まり。2007年に開店。それ以降、特別な言葉も、派手な説明もない。ただ、作り続けている。

 

行列と距離感

 

「現在生意很好,你怎麼看?」
(今すごく繁盛してますよね?)

 

「員工已經習慣,排隊用號碼」
(スタッフはもう慣れてる。番号で対応してる)

 

ここにもこの店らしさがある。拡大しすぎない。コントロールできる範囲でやる。そして、こんな一言もあった。嘉義の人は外から人が増える休日はあまり食べにこないので平日は嘉義人、休日は外からの人が多い。嘉義人にも旅行者にも愛されるレストランである。

 

台湾に広がる見えない影響

 

この店のもう一つの特徴。それは、ここで学んだ料理人が台湾各地にいること。店名は出さない。だが、確実に台湾国内に広がっているオーナーシェフの味。お店の名前は各地のスタッフのためにも教えてもらえなかった。

 

一番うれしい瞬間

 

最後に聞いた。

 

「什麼時候會讓你最開心?」
(どんな時が一番嬉しい?)

 

「客人說好吃」
(お客さんがおいしいと言ってくれた時)

 

ここまで一貫している。この店を一言で説明するのは難しい。ベトナム料理でもあり、台湾の店でもあり嘉義という土地の空気でもあるそして何より、「無理に広げない強さ」がある。嘉義に行ったら必ず立ち寄りたいレストランの1つです。

 

編集部あとがき

 

嘉義で出会ったこの一杯は、味はもちろん「空気」を感じる体験でした。派手に広げるのではなく、静かに続けること。その姿勢が結果的に台湾中へ広がっているのが印象的です。地域に根ざすとは何かを考えさせられる取材でした。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。