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(更新)
雨宮南月さんが見つけた、誰かと音楽をつくる楽しさ
「伴奏っていうと、どうしても裏に入るイメージがありますよね。でも、同じくらい主張しないと面白くないと思っています」
そう話すのは、国立音楽大学大学院で伴奏を専門に学ぶピアニスト、雨宮南月さん。声楽や器楽の伴奏をはじめ、古楽やミュージカルなどにも学びの幅を広げています。そして東村山市・久米川では、ダイニングバー「52番街」のピアニストとして演奏しています。
雨宮さんが大切にしているのは、「アンサンブルをするための伴奏」。一人で演奏するピアニストではなく、なぜ「誰かと一緒に音楽をつくる道」を選んだのでしょうか。今回は、ピアノを始めた頃から現在までのお話を伺いました。

雨宮さんがピアノを始めたのは、小学校1年生の終わり頃。周りにピアノを習っている友達がいて、「自分もやりたい」と自分から始めたそうです。ただ、中学生になる頃には、プロのピアニストになることについて「漠然と、自分には難しいのではないか」と考えるようになりました。
それでも音楽には関わっていたい。そこで考えるようになったのが、音楽を教える仕事でした。
高校受験の際には音楽大学の附属高校へ進むことも考えましたが、その時点では進路を一つに絞らず、普通科の高校へ。
大学進学の際にも、ピアノを選ぶか音楽教育を選ぶかで迷いました。「ピアノを本気でプロとして目指さないのであれば、音楽教育でちゃんと教育の勉強をした方がいいのではないかと思ったんです」そうして国立音楽大学で音楽教育を学ぶ道を選びました。
音楽教育を学びながらも、ピアノから離れたわけではありません。大学1、2年生の頃から、声楽を学ぶ友人に「伴奏してくれない?」と声をかけられることがあり、合唱の伴奏なども経験しました。
そして3年生からは、さらにピアノを学ぶためピアノ・コースへ。さまざまな人と演奏する機会が増えていく中で、少しずつ雨宮さんの気持ちにも変化が生まれていきました。
「一人で演奏するのも好きなんですけど、一緒にやる楽しさにだんだん惹かれていきました」
特に雨宮さんが楽しいと感じたのは、共演者がつくりたい音楽を感じ取り、それに自分の演奏を合わせていくことでした。
「もともと『私はこうしたい』という意思がすごく強い方ではなくて。共演する人がどういう方向でやりたいのか、それを一緒に合わせていくことが、苦しいのではなく楽しかったんです」
「もしかしたら、自分にはこれが合っているのかもしれない」
そうして大学院では、伴奏を専門に学ぶ道を選びました。
では、雨宮さんにとって「伴奏」と「アンサンブル」は違うのでしょうか。返ってきたのは、「伴奏=後ろで支える」というイメージを少し変えてくれる答えでした。
「伴奏っていうと裏に入っちゃうイメージがありますけど、同じくらい主張しないと面白くないと思っています。私は、アンサンブルをするための伴奏というスタンスです」
ただ相手についていくのではない。相手の音を聴きながら、自分からも音楽を提示する。そのやり取りの中で、一つの音楽をつくっていきます。

声楽家と演奏するとき、雨宮さんが特に大切にしているものがあります。それが「歌詞」です。歌手には言葉があります。しかし、ピアノには歌詞がありません。だからこそ、歌われている言葉を読み取りながら、ピアノで何を加え、何を引くのかを考えます。
「歌手には歌詞があるけれど、ピアノには歌詞がない。その分、足し算や引き算をしながら背景をつくり込んでいきます」
本番では、予定通りにいかないこともあります。その場で小節を増やしたり減らしたり、状況によってはテンポ感を調整したり。共演者やその場の状況を感じながら対応することも、伴奏ピアニストに求められる力です。
一方、器楽奏者との共演では少し感覚が変わります。「歌は歌が主役かなと思っています。でも器楽は、ソナタなどになると対等なものが多い。一緒につくるという意識がより強いかもしれません」だからといって、声楽と器楽のどちらかに絞りたいわけではありません。
「大学院になると、みなさん専門性が強くなっていきます。でも私は、いただいたお仕事は全部やりたいと思っています」
その言葉からも、雨宮さんの音楽に対する好奇心が伝わってきます。

アンサンブルを学ぶことは、一人でピアノを弾くときにも影響しているそうです。最近は、アンサンブルで感じたものを、どのようにソロの演奏へ落とし込むかを考えるようになりました。
目指しているのは、
「いかに一人でオーケストレーションできるか」。
一台のピアノで演奏していても、その中にさまざまな楽器や声があるように考える。誰かと音楽をつくる経験が、一人で演奏するときの音楽にもつながっています。
雨宮さんの興味は、ピアノだけにとどまりません。古楽に興味を持つきっかけになったのは、大学3年生の頃に始めたヴィオラ・ダ・ガンバでした。もともとは「弦楽器をやってみたい」という気持ちから始めたそうですが、そこから古楽の世界に惹かれていき、現在はチェンバロにも取り組んでいます。
通奏低音を読みながら演奏するなど、ピアノとは異なる音楽のつくり方も学んでいます。さらに最近は、大学のミュージカルコースにも参加し、稽古ピアノを経験。メインのピアニストとは別の立場で現場に入りながら、ミュージカルがどのようにつくられていくのかを学んでいます。
一つの分野だけに自分を限定せず、興味を持った音楽の世界に飛び込んでいく。それも雨宮さんの魅力の一つです。
大学やコンサートホールとはまったく違う環境で演奏しているのが、久米川のダイニングバー「52番街」です。きっかけは意外にも、求人アプリでした。大学院へ進学するタイミングで「演奏のアルバイトができないかな」と探していたところ、偶然見つけたのが52番街だったそうです。
久米川を訪れたのも、このお店で演奏するようになったことがきっかけでした。駅周辺の賑やかな雰囲気と、店内の落ち着いた空気。そのギャップも印象に残ったといいます。ここでの演奏は、コンサートとは違います。
「お客さんにとってはBGMなんです」
だからこそ、自分が弾きたい曲だけを弾くのではありません。お客さんの様子や年代を見ながら曲を選びます。
「演奏した曲が、お客さん同士の話の種になってくれたら嬉しいです」
リクエストにも応えます。洋楽や映画音楽も多く、ときには知らない曲をその場でリクエストされることもあるそうです。
大学院で専門的にアンサンブルを学ぶ時間と、街の中で目の前のお客さんを見ながら演奏する時間。場所は違っても、そこには「相手を見ながら音楽をつくる」という共通点があるように感じました。
また、白梅学園大学では、保育を学ぶ学生のピアノをサポートする活動にも携わってきました。演奏だけに限らず、さまざまな場所でピアノと関わっています。
「普段クラシックを聴かない人にも、ピアノを聴いてほしいですか?」
そう尋ねると、
「思います!」
と、すぐに答えが返ってきました。
「クラシックを聴いたことがないという人でも、『この曲、聴いたことがある』というものは結構あると思うんです。でも、生で聴く機会はそんなに多くないですよね」
クラシックというと、少し難しそうなイメージを持つ人もいるかもしれません。でも実際には、驚くほど華やかな曲もあれば、映画やテレビなどを通して知らないうちに耳にしている曲もあります。
「実際に聴きに行ってみたら、ハマるかもしれません。何千曲もあるので、その中から好きな曲に巡り会えたらいいなと思います」

最後に、将来どんなピアニストになりたいのかを聞きました。「アンサンブルピアニストとして、『この人に任せれば大丈夫』とか、『この人と一緒に私もやってみたい』と思ってもらえるような、一緒にやる人にとってプラスになるピアニストになりたいです」
そして最近、もう一つ大切にしていることがあります。自分の演奏を聴いた人に、
「この曲、いい曲だな」
と思ってもらうこと。
「自分が演奏することで、聴いている人が『いい曲だな』と思ってくれたら嬉しい。その曲がいい曲だと思ってもらえるような演奏を心がけています」
10年後も「伴奏ピアニスト」と名乗っていると思いますか?そう尋ねると、
「思います。ソロピアニストになっていることはないと思います」
と雨宮さん。
そして最後に、こんな質問をしてみました。
「自分が前に出ることと、人を生かすこと。どちらが好きですか?」
答えは、とてもシンプルでした。
「人を生かすことです」
小学校1年生で、自分から「やりたい」と始めたピアノ。音楽教育を学び、友人たちの伴奏をする中で見つけたのは、一人で舞台の中央に立つこととは違う音楽の楽しさでした。
「この人と一緒なら大丈夫」と思ってもらえるピアニストを目指して。雨宮南月さんは、今日も誰かと一緒に音楽をつくっています。
取材を終えて印象に残ったのは、雨宮さんが何度も「一緒につくる」という感覚を大切にされていたことでした。伴奏というと、主役を後ろから支える存在を想像してしまいがちです。しかしお話を伺っていると、相手の音や言葉を受け取りながら、自分の音も重ねて一つの音楽をつくっていく。その面白さに惹かれて、この道を選んだことが伝わってきました。
最後に伺った「自分が前に出ることと、人を生かすことなら?」という質問への「人を生かすことです」という答え。雨宮さんが目指すピアニスト像が、その一言に表れているように感じました。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

【第20回】「人を生かす」ピアニスト
雨宮南月さんが見つけた、誰かと音楽をつくる楽しさ

【第19回】仲間が輝く舞台をつくる。Mu❤︎Zies(ミュージーズ)
主宰・振付師横山佐江子さん

第18回「伴奏ではなく、共演。」調和を奏でる鍵盤奏者・森下柚香さん
バッハとの出会い、チェンバロが教えてくれた音楽の本質──「音楽は神からの贈り物」と語る森下さんの歩み。
小平市上水新町1丁目17-18
[ 地域向け音楽イベントの企画と実施・音楽教室 ]
クラシック×民謡、癒しのこいねこサウンド。
東村山市美住町2丁目
[ 和太鼓、ピラティス、ヨガ ]
和太鼓とピラティス融合!楽しく整う新習慣
東大和市向原6丁目1413 5YSビルディング 3F
[ フィットネスジム/パーソナルトレーニング ]
高品質マシンと家族無料が自慢のジム
東村山市恩多町5丁目
[ 食事ケア・姿勢改善サロン ]
食事と姿勢の両面から体を整えましょう
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[ 総合体育館 ]
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東村山市野口町1-3-3 アドヴァンス東村山3F
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