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北多摩(東村山・小平・東大和)で出会う、表現を支える場所を訪ねて
小平・東村山・東大和のまちの中には、作品を発表する人、それを支える場所、そして表現に出会う人たちが静かに集まっています。
ギャラリーや工房、ワークショップスペースなど、規模は小さくても、それぞれに大切な物語を持つ場所があります。
この特集「地域のアーティストが集まる場所」では、多摩エリアで創作を支える空間を訪ねながら、まちに息づく表現の風景を紹介していきます。

森下柚香 (ピアノ、チェンバロ、オルガン)
荒井俊匡(バスバリトン、企画)
松浦わか奈(ソプラノ)
りえ(チェロ、津軽民謡)
「オペラやクラシックは、敷居が高いものだと思っていました。」
そんな声を、演奏後によくいただくそうです。
東村山・小平・東大和を含む北多摩を中心に活動する音楽ユニット「こいねこ」は、クラシック、オペラ、民謡、映画音楽など幅広いジャンルを取り入れながら、誰もが楽しめるコンサートを届ける地域密着型の音楽グループです。
こいねこが大切にしているのは、演奏そのものだけではありません。
彼らが何より楽しみにしているのは、現場でお客様と音楽を通して交流する時間です。
演奏後に直接感想を聞いたり、思い出の曲について会話が弾んだり、時には一緒に歌うことも。
ステージと客席を分けるのではなく、
その場にいる全員で音楽の時間をつくることを大切にしています。
だからこそ、こいねこのコンサートは
「聴いて終わり」ではなく、
人と人がつながる体験として記憶に残ります。
クラシックの壁をなくしたい
こいねこが目指しているのは、
知識がなくても楽しめるクラシック。
演奏の合間には曲や作曲家の解説を交え、
時には笑いも交えながら進行することで、
「クラシック=難しい」というイメージを和らげています。
企画担当兼バスバリトンの荒井俊匡さんは、
かつて台湾で歌手活動を行っていましたが、
2013年12月24日のバイク事故により大きな転機を迎えました。
身体に大きなダメージを負い、
一時は歌から離れることに。
それでも2023年、再び歌う道を選んだのは、
「音楽には、人の心を動かす力がある」
と信じていたから。
その想いは今、
自らが歌うことだけでなく、
地域へ音楽を届ける活動へと広がっています。
記憶に残る体験型コンサート
こいねこのコンサートでは、
その日、その場所だからこそ生まれる、一度きりの体験を大切にしています。
そう思ってもらえる時間づくりを目指しています。
こいねこが目指しているのは、地域に文化を根付かせること。
音楽をきっかけに人が集まり、会話が生まれ、新たなつながりが生まれる。
そんな循環を、この地域に少しずつ広げていくことを目指しています。

東村山にある女性限定サロン「Lokomaikai(ロコマイカイ)」。心と体はつながっているという考えのもと、身体のケアから心を整えていく「ウェルネスケアサロン」です。今回お話を伺ったのは、サロンを運営する佐々木さん。その想いの背景には、「誰かを支える人を支えたい」という強い原点がありました。
「心と体はつながっているので、気持ちだけ前向きにしようとしても難しいんです」そう語る佐々木さん。だからこそ、まずは身体から整えていく。香りや温もりに包まれながら、少しずつ力を抜いていくことで、自然と心も緩んでいく。Lokomaikaiが目指しているのは、そんな整え方です。「自分を大事にしてほしい」その言葉には、サロンのすべてが込められていました。
Savon Nectarは、佐々木さんご自身が製造しているものではなく、小金井のサロンで活動する庄司アキさんが手がけているクレンジングソープです。
「大切なお客様に使うものだからこそ、安心できるものを選びたい」
その想いの中で出会い、庄司さんの考えに深く共感したことが、取り扱いのきっかけでした。
「これは、ただの商品ではなくて想いなんです」
その背景には、インクルーシブな社会への想いも込められています。将来的には、就労支援B型事業所への委託も視野に入れており、使う人だけでなく、作る人にもやさしい循環を目指しています。佐々木さんは、その想いを受け取り、「届ける側」として広めていきたいと考えています。
Lokomaikaiの活動は、サロンの中だけではありません。今後は、ワークショップを通じて「香りによるケア」を広げていきたいと考えています。届けたいのは、介護や子育てなど、誰かを支えている人たち。「支える側が元気じゃないと、支えられる側もつらくなる」その想いから、介護現場や施設、地域イベントなどでの展開を構想しています。
香りは、無意識に脳へ届き、記憶や感情に働きかけるもの。忙しさや疲れの中で忘れてしまいがちな自分に、ふっと戻るきっかけをつくる時間。「まずは、緩んでほしい」それが、この活動の原点です。
佐々木さん自身も、かつて支える側としての日々を経験してきました。子育ての中で、自分のことは後回しになり、気づいたときには、心が折れてしまいそうになったこともあったといいます。「ぽきっと折れてしまう人を、一人でも減らしたい」また、介護者の方への想いも強くあります。「介護している方が元気じゃないと、当事者が困ってしまう」だからこそ、支える人を支えることが、自分の役割だと感じています。
この取り組みには、もう一人の想いも重なっています。一緒に活動する市川幸枝さんは、シングルで3人のお子さんを育てながら働く中で、不登校や引きこもりといった経験もしてきました。それぞれの子どもに合わせて、好きな香りを作り、日常の中で使うことで、「自分に戻るスイッチ」をつくる。また、職場や日常の中で感じるストレスや緊張も、香りによって少しずつほぐれていくといいます。「香りは無意識に届くもの」だからこそ、言葉では届かない部分にも寄り添える。そんな可能性を感じています。
Lokomaikaiが届けているのは、癒しという言葉だけでは表しきれない時間です。身体を整えることで、心も整っていく。そしてその先に、「自分を大切にする」という感覚が戻ってくる。さらにその想いは、商品づくりやワークショップを通して、社会とのつながりへと広がっています。

アトリエ花夢花夢の活動の軸にあるのは、「花を通して、癒しと豊かな暮らしを届けること」です。作品を見たときの「素敵だな」という気持ち。そして、そこから見えてくる作った人の個性。同じ花を使っても、組み合わせによってまったく違う世界が生まれる。その奥深さが、この表現の魅力です。
作品づくりで大切にしているのは、「自分がワクワクするかどうか」。そして、「わぁ、素敵だな」と心から思えるまで妥協しないこと。花の色の組み合わせ、成長スピード、育つ環境。それぞれの特性を見極めながら、花の魅力が最大限に引き出される状態をつくっていきます。完成した瞬間、思わず顔がほころぶ。さらに一週間ほどの養生期間を経て、しっかり根付いたとき、作品は暮らしの一部になります。
寄せ植えやリースの魅力は、単体ではなく組み合わせによって生まれる世界観にあります。限られたスペースの中で、異なる植物が調和し、新たな表情を見せる。それはまるで、小さな空間の中に一つの物語が生まれるような感覚です。
レッスンでは、色の好みやイメージを丁寧にヒアリングしながら、講師が花苗をセレクト。株の大きさ・高さ・成長スピード・環境、すべてを考慮したうえで構成するため、初心者でも完成度の高い作品に仕上がります。さらに、マンツーマンまたは少人数制。一人ひとりに合わせた細やかなサポートがあるからこそ、「初めてなのにここまでできるの?」という驚きにつながります。
このアトリエで大切にしているのは、無になれる時間をつくること。静かなBGMの中、必要以上に話しかけず、その人のペースを尊重する。
その人が求めているものを感じ取りながら、花と向き合う時間そのものを整えていきます。
ご夫婦で参加されたレッスンで、初めてにも関わらずご主人がとても上手に作品を完成。それを見た奥様が驚き、少し悔しそうに笑う。そんな微笑ましい場面も。作品づくりは、人の新しい一面を引き出す時間でもあります。
花のある暮らしは、気持ちに明るさや張りをもたらします。手をかければ応えてくれる存在だからこそ、生きがいになるという声も少なくありません。介護や日々の忙しさの中で、「この時間があるから頑張れる」そんな存在になっていることもあります。
東大和に住んで40年以上。「田舎すぎず、都会すぎない。住めば都」と語ります。自転車で10分ほどで湖に行けるこの環境。そして、人が声をかけ合い、出会いが生まれる地域。人と人の輪が広がる場所であり続けてほしい。
今後は、老人ホームでのサークル活動や、地域の人が夢中になれる時間づくりにも取り組みたいと考えています。また、まいぷれの掲載店舗との連携によるマルシェ開催など、地域とのつながりも広げていく予定です。
「作品を見てわぁと思ったら、まずはやってみてください。」
合わなければ一度でやめてもいい。でも、実際にやってみると。「意外とできた」と、自分に驚く方がほとんどです。たった2時間の時間が、それ以上の癒しとゆとりを生み出す。小さなアトリエと庭で、その時間を体験してみませんか。
東村山・小平・東大和で活躍する表現者にスポットを当てる本企画。第6回は、「Fairy Ballet Studio」をご紹介します。技術の習得だけではなく、心の豊かさを育てる。そんなバレエ教室の魅力に迫ります。
Fairy Ballet Studioでは、現役で舞台に立つ講師による指導が受けられます。一つひとつの動きを丁寧に伝えるだけでなく、「どう表現するか」「どう感じるか」といった内面にも向き合うレッスンが行われています。バレエは単なる運動ではなく、表現する芸術。その本質に触れられる環境がここにはあります。
教室を立ち上げたきっかけは、雇われ講師として活動する中で感じたもどかしさでした。
「本当に伝えたいことが伝えきれない」
そんな想いから、自分の言葉で、生徒一人ひとりと向き合える場所をつくりたいと考え、小さくスタート。現在は主宰として教室を運営しながら、発表会では中心となって舞台に立ち続けています。
主宰は11歳と3歳、2人のお子さまを育てながら教室を運営されています。その経験から、お母様の気持ちに寄り添いながら、生徒だけでなく保護者の方とも一緒に成長を見守る存在でありたいという想いを大切にしています。実際に、保護者の方を対象とした個人面談も毎年実施。バレエ教室では珍しい取り組みですが、日々の悩みや不安を共有することで、帰る頃には笑顔になっている姿も多く見られるそうです。
特に人気なのがプライベートレッスン。それぞれのレベルや目的に合わせて丁寧に指導を行うため、すぐに予約が埋まるほどの人気です。また、お母さんを中心とした「ママバレエクラス」も好評。お子さまと一緒に参加できるため、無理なく続けられる点が支持されています。
教室には4歳から大人まで、幅広い年代の方が通っています。初心者の方でも安心して始められる環境が整っており、これからバレエを始めたい方にもおすすめです。
レッスンでは、髪をお団子にまとめるなど、バレエならではの美意識も大切にしています。形を整えることで意識が変わり、自然と姿勢や動きにも影響が出る。そうした積み重ねが、内面の成長にもつながっていきます。
「Fairy Ballet Studio」という名前には、ここに来たら現実から少し離れて、妖精のように踊れる場所でありたいという想いが込められています。日常を忘れ、自分自身と向き合い、自由に表現する。そんな特別な時間がここにはあります。
Fairy Ballet Studioが大切にしているのは、技術だけではありません。バレエを通して心を豊かにし、人生そのものを豊かにしていくこと。その想いが、一人ひとりの成長へとつながっています。東村山でバレエを始めたい方、新しい表現に出会いたい方は、ぜひ一度体験してみてはいかがでしょうか。

そんな人にこそ届いてほしい場所があります。東村山市を拠点に活動する「和太鼓教室せっちー」。ここでは、和太鼓とピラティスを組み合わせた新しい習慣「美鼓ピラ」が行われています。
この教室を立ち上げたせっちーさん自身、もともとは運動が苦手だったといいます。和太鼓との出会い、そしてピラティスとの出会い。その中で気づいたのは、「運動は頑張るものじゃなく、楽しいものでもいい」ということ。その実感から生まれたのが「美鼓ピラ」です。
「和太鼓とピラティス」という組み合わせに、最初は少し驚きました。ですが内容を知ると、とても理にかなっています。「美鼓ピラ」は、
この2つを組み合わせたフィットネス。太鼓の音に身を任せて体を動かし、ピラティスの呼吸で整える。「動」と「静」を同時に体験できる、新しいスタイルです。
この教室の特徴は、
頑張らないこと
和太鼓のリズムに合わせて自然に体が動くため、無理なく続けられます。実際に通っているのは、40代~60代の女性が中心で、その多くが未経験。
そんな人でも自然と続いています。
太鼓の音が鳴ると、人が集まる。言葉がなくても、リズムでつながる。昔から地域の祭りや行事の中で、
太鼓は人と人をつないできました。この教室でも、同じことが起きています。世代や職業が違っても、音を合わせることで自然と距離が縮まっていく。そんな空気があります。
実際の生徒さんからは、こんな声もあります。「今年初めて、一年間続けられたものができました」体力や姿勢の変化だけでなく、「続けられた」という自信。これが、この場所の大きな価値です。
和太鼓教室せっちーは、
そんな「第三の居場所」として機能しています。
今回の特集で出会ったアーティストたちには共通点があります。それは、自分の好きから始まっていること。せっちーさんもその一人です。運動が苦手だったからこそ生まれた場所。だからこそ、同じ悩みを持つ人に届いています。運動というよりも、「音に身を任せる時間」として楽しめる場所なのかもしれません。

玉川上水沿い、鷹の台駅からほど近い場所に、静かに作品と向き合える小さなギャラリーがあります。小平市にある「mano gallery shop」です。この場所では、武蔵野美術大学卒業の若手作家を中心に、ひとつひとつの作品の背景や想いを大切にしながら展示が行われています。
mano gallery shopは、鷹の台駅から歩いてすぐ、玉川上水に面した角地にあります。この場所を選んだ理由について、こう話してくれました。「上水に面していて景色が良いことと、もともと家族にとって縁のある場所でした。」
また、上水沿いならではの建築制限がある中で、結果的に生まれた空間も、このギャラリーの魅力のひとつになっています。「上水沿いの規制があるからこそL字の空間になり、展示室として良い形になりました。」作品と風景が自然に重なり合う空間です。
mano gallery shopでは、武蔵野美術大学卒業の作家を中心に作品を扱っています。単に作品を並べるのではなく、作家本人と直接向き合うことを大切にしています。展覧会や卒業制作展で魅力的な作品を作っている作家に、その想いや技法などのお話を詳しく伺うようにしています。商業寄りではなく、自分の表現を追求している作家。いわゆる職人気質の方に惹かれるのだそうです。
このギャラリーの特徴は、作品そのものだけでなく、「作家の思い」を大切にしていることです。「作家さんがどのような思いでつくっているのかをお聞きして、説明できるように理解したうえで展示しています。」作品を見るだけでなく、その背景にある物語まで知ることができる場所です。
訪れる人は、近隣に住む方や、SNSを見て足を運ぶ方などさまざまです。「近隣の方が散歩がてら来てくださったり、インスタを見て遠方から来てくださる方も多いです。」玉川上水沿いという立地もあり、
日常の延長の中でアートに触れられる場所になっています。
これまで出会ってきた作家について尋ねると、こんな言葉が印象的でした。「みんな好きです。自分の子供たちと同じくらいの年齢なので、親目線で“頑張れ”と応援しています。」作品を売る場所であると同時に、作家を見守り、送り出す場所でもあります。
最後に、これから訪れる人や作家への想いを聞きました。「はじめの一歩としてこの場所を使ってもらって、数年後に羽ばたいていってほしいです。」
mano gallery shopは、地域の中で新しい表現が生まれ、育ち、広がっていく「入口」のような場所です。
玉川上水の風景とともに、静かに作品と向き合えるmano gallery shop。ここには、まだ広く知られていない若い作家の作品と、それを支えるあたたかな視点があります。まいぷれでは「地域のアーティストが集まる場所」として、東村山・小平・東大和エリアで活動する作家や、その場所をこれからも紹介していきます。

風景や人の温かい瞬間を、やさしいタッチのイラストで描く人がいます。やまみスタジオのイラストレーター、やまみさんです。作品には、家族や日常の風景、地域の景色など、どこか懐かしく、見る人の心を和ませる空気が流れています。
やまみさんは学生時代以来、自分の作品を多く描いてきたわけではありませんでした。
「今まで、自分の作品は学生の時以来そんなに点数は描いていませんでした。描いたとしてもごくごくプライベートなもので、人に見せるものでもなかった。自信が無かったです。」
そんな中、家族を描いた一枚の絵がきっかけになります。ママ友に見せたところ、「ぜひ私の家族も描いてほしい」と言われたそうです。
「自分の絵でも欲しいと言ってもらえたこと、少しでも人の心を動かすことが出来たという驚きと共に、心の中に秘めていた『いつかイラストレーターになりたい』という気持ちに火を灯してくれました。」
この出来事が、やまみさんの活動の大きな一歩になりました。
東村山に引っ越してきてから、子どもの成長とともにこの街で暮らしてきたやまみさん。日々の生活の中で見慣れた景色や、よく訪れるお店など、身近な風景を描きたいと思うようになったそうです。
「見慣れたちょっとした風景や、行き慣れたお店とか、誰かと共有出来るような場面を描けたらいいなと思っています。」
地域で暮らす人にとって「分かる風景」を描くこと。それが、やまみさんの作品の魅力のひとつです。
作品づくりで大切にしていることを聞くと、こんな言葉が返ってきました。
「『挑戦しよう。』という気持ちを忘れないようにしようと思っています。」
新しいことに挑戦する気持ちを持ち続けること。その姿勢が、やまみさんの活動を支えています。
人物や家族を描くときは、どんな気持ちで向き合っているのでしょうか。
「『可愛い!』や幸せな気持ちを思い浮かべながら描いています。」
その想いが、作品のやわらかさや温かさにつながっています。
東村山で好きな場所として挙げてくれたのは、
・北山公園
・八国山
・狭山公園
どれも、自然が豊かで地域の人に親しまれている場所です。
これから描きたい場所として、やまみさんはこう話してくれました。
「弁天池公園を描いておきたいです。あと、化成小の前の『いとうやさん』です。訪れる人の笑顔と共に風景を描ければ良いなと思っています。」
地域の風景だけでなく、そこに集まる人の表情まで描きたい。そんな想いが伝わってきます。
東村山の景色や人の温かさを、やさしいタッチで描くやまみさん。北山公園や八国山、弁天池公園など、この街で暮らす人にとって身近な風景が、作品の中で新しい魅力を持って現れます。まいぷれでは「地域のアーティストが集まる場所」として、東村山・小平・東大和エリアで活動する作家や表現者、そしてその場所をこれからも紹介していきます。

東村山の風景や歴史をイラストで描き続けている人がいます。
東村山を描く人 舞子さんです。
ふるさとの景色や文化を絵に残す活動は、コロナ禍のある思いから始まりました。
舞子さんは、子どもの頃から東村山の歴史や自然に触れる機会が多かったそうです。
「子供の頃からふるさと歴史館や八国山へ行くことが多く、東村山の郷土史が自然と身に付く環境にいました。」
そんな環境で育ったこともあり、東村山の歴史や文化は自然と身近なものになっていきました。そしてコロナ禍、自宅で過ごす時間が増えたことをきっかけに、得意なイラストで東村山の魅力を伝えたいと思い、作品を描き始めたといいます。
舞子さんが最初に描いたのは、西武多摩湖線を走る新101系電車と狭山公園の景色でした。
「新101系電車が多摩湖線での運用を終了することになり、イラストで思い出を残したいと考えました。」
この作品は、同級生が代表を務めるイベントバー「LiCoD」に置かれているそうです。身近な人とのつながりも、舞子さんの活動を支える大切なきっかけになっています。
一昨年、Bee cafeで個展を開催した際、来場者から「むさしの認定こども園で西宿人形芝居の公演があります」と誘われ、公演を鑑賞する機会がありました。そこで舞子さんは大きな衝撃を受けます。
「諏訪町からこんなに素晴らしい伝統芸能が誕生していたとは!イラストを通して沢山の人に人形芝居を知ってほしい!」
地域の文化との出会いが、新たな作品へとつながりました。
また、この出会いをきっかけに、舞子さんのイラスト活動の幅も広がっていきます。
東村山には好きな景色がたくさんあるという舞子さん。その中でも特に好きな場所は、狭山公園の堤防だそうです。
「気分をリセットしたいときは必ず訪れています。東村山の街から登る朝日が大好きです。」
東村山の自然や空の表情は、舞子さんの作品にも大きな影響を与えています。
これから描いてみたい場所として挙げてくれたのは、現在高架化が進む東村山駅の風景です。
「高架化が進み賑わいを見せる東村山駅と、地元で愛されるお店の絵を描きたいです。」
変わりゆく街の景色と、そこにある人の営み。それらをイラストで残していきたいと考えています。
東村山の風景や文化を、やさしいタッチで描き続ける舞子さん。その作品は、地域の記憶や魅力を未来へつなぐ大切な表現でもあります。小平・東村山・東大和エリアには、まだ知られていない創作活動や表現がたくさんあります。この特集「地域のアーティストが集まる場所」では、これからも地域の中で生まれる表現や、それを支える場所を紹介していきます。

住宅街の一角に、小さな階段があります。
その段を上がると、作品を発表する人、それを楽しみに訪れる人、そしてまだ出会ったことのない表現に心を動かす人たちが、静かに集まっています。東村山にあるギャラリーカフェ「Gallery Parque(ギャラリーパルケ)」は、アーティストや創作活動をする人たちが自然と集まる場所です。
「いろいろなことを表現する方が、どんなことをしたいのか。自分が楽しんでいる姿を、私たちが垣間見られる場所。それがギャラリーだと思っています。」
そう話してくれたのはオーナーのオオツさん。
作品を見て感動する人もいれば、「なんじゃこりゃ」と戸惑う人もいる。でも、どちらも心が動いているという点では同じ。
「知ることが、感動につながるんです。」
Gallery Parqueは、作品を並べる場所というよりも、表現する人のエネルギーを間近で感じられる場所なのかもしれません。最近では瞑想会も開催。「やろうと思う人が使える場所でありたい」と話します。
ギャラリーを始めたのは2015年4月の終わり。今年で12年目を迎えます。最初はオオツさん自ら作家を探し、直接声をかけて企画展を開いてきました。最初に展示したのは「さをり織」の教室の作品。趣味で始めた創作が、初めて人の目に触れる場所になりました。今でも体験の機会が時折開かれています。
ここは、有名な作家のためだけの場所ではありません。
そんな人たちの最初の個展を支えてきました。
「ここの段を上がってくる人は、変人です。」
そう笑いながら話します。もちろん、悪い意味ではありません。ユーモアがあって、懐が深く、それぞれの個性を尊重し合える人たち。愛すべき変人たちが自然と集まるのがGallery Parqueです。展示をきっかけに仲間ができ、ときには「大人の遠足」と称して成田山新勝寺へ出かけたり、バス旅行に行ったり。モンゴルまで旅をしたこともあるそうです。作品の発表だけでなく、人と人とのつながりが生まれる場所になっています。
「やってよかったと思う瞬間は?」と尋ねると、「毎回です」と即答。幸せそうに見える絵の裏に、実は深い想いが込められていたこと。話してみるとまったく違う世界観が広がっていたこと。
「会えてよかった、と思うことがたくさんありすぎて困ります。」
続ける理由を聞くと、「楽しいから。」その一言でした。
「これからどうなっていきたいですか?」
「発展とかはないですね。今のまま。まだここに来ていない人が来てくれたら、それで十分です。」コロナ禍でもギャラリーは閉めず、カフェとして人を迎え入れ、秋には展示会を続けてきました。特別な拡大を目指すのではなく、淡々と、でも楽しみながら続いてきた12年。東村山の住宅街にある小さなギャラリーは、今日もまた誰かの表現と出会える場所であり続けています。
Gallery Parqueは、作品を並べる空間であると同時に、表現する人を支える土壌のような存在です。小平・東村山・東大和エリアには、まだ知られていない創作の拠点が点在しています。この特集では、そんな場所をこれからも訪ねていきます。次回もお楽しみに。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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