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東村山・小平・東大和の歴史と文化

北多摩の歴史 第26回【小平の歴史】あじさい公園と小川用水

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370年以上、小平の暮らしを支え続けた水の道

この水路が、小平の始まりでした。

初夏になると色とりどりのアジサイが咲き、多くの人が散策に訪れる小平市の「あじさい公園」。しかし、この公園の本当の魅力は、約370年前から流れ続ける小川用水にあります。

 

江戸時代、小平の新田開発を支え、人々の暮らしに欠かせない存在だったこの水路は、今もなお静かに流れ続けています。花を楽しみながら歴史にも触れられる――。

 

今回は、あじさい公園を歩きながら、小平のまちづくりを支えた小川用水の歴史と、公園に残る見どころをご紹介します。

小平の始まりを支えた「小川用水」

 

現在の小平市周辺は、かつて武蔵野台地の一角で、水を確保することが難しい土地でした。1653年(承応2年)に玉川上水が完成すると、その水を利用して新田開発を進めるため、1656年(明暦2年)に小川用水が開削されます。

 

この用水は、小川九郎兵衛清右衛門による新田開発の基盤となり、現在の小平の礎を築きました。農業用水として畑を潤しただけでなく、飲み水や生活用水としても利用され、人々の暮らしを支える重要なライフラインとなりました。

 

約370年前に造られたこの水路は、今もなお小平の風景の一部として静かに流れ続けています。

 

小川用水案内板

今も残る、江戸時代の土木技術

 

あじさい公園周辺には、江戸時代の土木技術を今に伝える痕跡が残されています。小川用水は東京都水道局小平監視所付近で玉川上水から分水され、市内を東へ流れています。この周辺にはかつて窪地があり、そのままでは水を流すことができませんでした。そこで先人たちは、土を盛って人工的に水路を高くする**「築樋(つきどい)」**という工法を採用します。

 

現在でも、公園南側の水路が周囲より高い位置を流れているのは、その名残です。さらに、道路整備などによって地下を通る区間では、土地の高低差による自然の水圧を利用して水を流す**「伏せ越し」**という仕組みも使われています。

 

約370年前の知恵と技術が、現代の景色の中にも息づいています。

水辺に息づく、小さな自然

 

あじさい公園は1973年(昭和48年)、「アジサイの名所」を目指して整備されました。園内には睡蓮池や小川が設けられ、水辺には四季折々の植物が育っています。案内板によると、ヘラオモダカやリュウキンカ、ミズカンナなどの水生植物が植えられ、ヒメダカなどの小魚も放されました。

 

実際に歩いてみると、小魚が泳ぎ、鳥が羽を休める姿も見られ、水辺の生態系が大切に守られていることが伝わってきます。アジサイの見頃を過ぎた夏でも、水辺の景色は訪れる人に涼しさを届けてくれます。

睡蓮

「あじさい公園」という名前の理由

 

公園には、日本アジサイをはじめ、ガクアジサイや西洋アジサイなど、さまざまな品種が植えられています。

見頃は6月ですが、木々に囲まれた園内は真夏でも木陰が多く、散歩にもぴったりです。

 

歴史ある用水と季節の花々が調和する風景は、地域の人々の憩いの場となっています。ゆっくり歩いていると、水のせせらぎや木々を渡る風が、日常の慌ただしさを忘れさせてくれます。

紫陽花

グリーンロードで出会う芸術

 

あじさい公園の周辺を歩いていると、小平グリーンロード沿いには、小平市ゆかりの彫刻家齋藤素巖の作品が点在しています。

 

今回見つけたのは、1930年制作のブロンズ作品**「交通」**。

 

この作品は「齋藤素巖・彫刻の小径」の一つで、小平駅から花小金井駅まで続くグリーンロード沿いには、16基17作品が設置されています。自然だけではなく、芸術にも出会えるのも、この散策路ならではの魅力です。

齋藤素巖ブロンズ作品:1930年制作のブロンズ作品「交通」

歴史を知ると、いつもの景色が変わる

 

  • 何気なく歩いていた遊歩道。
  • 静かに流れる水。
  • 木陰の中に咲くアジサイ。

その風景は、370年以上前から受け継がれてきた小平の歴史と、人々の知恵によって守られてきたものです。小平の魅力は、有名な観光地だけではありません。何気なく歩く公園や遊歩道にも、このまちを築いてきた歴史が息づいています。

 

次にあじさい公園を訪れたときは、花だけでなく、静かに流れる小川用水にも目を向けてみてください。約370年前から続くその流れが、きっといつもとは違う景色を見せてくれるはずです。

編集後記

 

今回歩いたあじさい公園は、「花の名所」という印象だけでは語りきれない場所でした。園内を流れる小川用水は、江戸時代の新田開発を支え、人々の暮らしとともに歩み続けてきた歴史ある水路です。その流れは今も変わらず、小魚が泳ぎ、鳥が集まり、地域の人たちの憩いの風景をつくっています。

 

普段何気なく歩いている場所も、その背景を知ることで見え方は大きく変わります。歴史とは、資料館の中だけにあるものではありません。私たちが日々歩く道や公園の中にも、静かに受け継がれています。

 

北多摩の歴史シリーズ【今回は小平】

 

北多摩には、まだ広く知られていない歴史や文化、人物、風景が数多く残されています。**「北多摩の歴史」**では、地域に息づく物語を現地取材と資料をもとにたどり、その魅力をお届けしています。次回も、身近な景色の中にある「知られざる歴史」を一緒に歩いてみましょう。

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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