東村山・小平・東大和の歴史と文化
鈴木新田開発の鈴木家とは
小平のイメージです。
小平市の地名にある「鈴木町」。この鈴木という名前は、どこから来ているのでしょうか。その答えをたどると、江戸時代、武蔵野の台地を切り拓いた開発者、鈴木利左衛門と、その一族の存在に行き着きます。
現在の小平は、もともと畑や田んぼが広がる新田としてつくられた地域です。その中でも「鈴木新田」は、享保年間に成立した重要な開発地の一つでした。この記事では、小平のルーツともいえる鈴木家の歴史を、暮らし・水・文化という視点からたどります。
江戸時代、幕府は武蔵野台地の開発を進めていました。その流れの中で誕生したのが「新田」と呼ばれる開拓地です。小平市内でも、小川新田や野中新田など複数の新田が成立しましたが、その一つが鈴木新田です。
この開発を担ったのが、貫井村(現在の小金井市)の名主・鈴木利左衛門でした。小平市の資料によると、鈴木新田は享保9年(1724年)に開発が許可されています。ただし、これは一度の申請で認められたものではなく、何度も願い出た末にようやく実現したものでした。
武蔵野台地の開発で最も重要だったのが「水」です。鈴木新田では、玉川上水から分水を引き、田んぼをつくっていたことが分かっています。発掘調査では、「鈴木田んぼ」と呼ばれる水田跡が確認されており、そこには鈴木新田田用水という水路が使われていました。さらにこの田んぼは、約70年間にわたって利用されていたとされています。
つまり、ただ土地を開いただけでなく、生活として成立していた村だったのです。
小平の地名に「鈴木」が残っている理由は、単に開発者だったからではありません。
この一連の営みがあったからこそ、その名前が地域に根付いていきました。また、玉川上水にかかる「貫井橋」は、開発当時に鈴木利左衛門が行き来したことに由来すると伝えられています。
鈴木家の歴史は、現在も地域の中に残されています。代表的なのが「鈴木稲荷」です。この神社は、開発を行った鈴木利左衛門が土地を寄進して成立したとされています。また、小平ふるさと村には旧鈴木家住宅穀櫃(こくびつ)が残されています。これは、穀物を保管するための施設で、当時の生活や財力を知る貴重な文化財です。開発者の存在が、信仰や生活の形として残っているのが特徴です。
鈴木新田の歴史は、開発で終わりません。江戸時代末期、この地域では「鈴木ばやし」という祭囃子(まつりばやし)が生まれました。これは、地域の有力者が若者の健全な娯楽として広めたもので、現在も小平市の無形民俗文化財として受け継がれています。
小平の歴史には、戦国武将のような有名な人物は登場しません。しかしその代わりに、土地を開き、暮らしをつくり、文化を育ててきた無名の人びとの積み重ねがあります。鈴木利左衛門と鈴木家は、そのはじまりの一つを担った存在です。今、私たちが歩いているこの街は、こうした人たちの努力の上に成り立っています。
小平市公式「市報こだいら:2022年10月1日号 6面(抜粋記事)」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/shihou/100/100905.html
小平市公式「鈴木遺跡で見つかった江戸時代の田んぼ」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/043/043360.html
小平市公式「鈴木ばやし」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/001/001156.html
小平市公式「鈴木遺跡」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/072/072847.html
小平市公式「小平の文化財」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/006/006210.html
小平市公式PDF「小平市の文化振興の基本方針」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/files/103974/103974/att_0000006.pdf
小平市公式「小平市史別冊『図録』…『近世の開発と村のくらし』」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/030/030716.html
小平市公式「窪地から見る小平の歴史」
https://www.city.kodaira.tokyo.jp/shihou/files/74602/074602/att_0000038.pdf
小平市公式「小平ふるさと村でタイムスリップ」
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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