まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
台北市立美術館で2027年3月14日まで。7組の大型インスタレーションが問いかける、音楽の新しい楽しみ方
台湾の今を、日本へ。
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連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい文化や産業の動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾・台北で2026年10月31日に開幕した、日本の音楽家・坂本龍一の大型展覧会をご紹介します。
台北市立美術館で開催される「坂本龍一|觀音.聽時」は、2027年3月14日までの展覧会です。
坂本龍一が2000年代以降に取り組んだ芸術活動を中心に、7組の大型インスタレーションと関連資料を紹介します。
音楽を耳で聴くだけでなく、映像、光、水、霧、気象データ、電磁波などを通じて空間全体で感じる。
今回の展覧会は、坂本龍一が探求してきた「音楽と私たちの感覚の関係」を、あらためて考える機会となっています。
音楽家・坂本龍一が追求したもの
坂本龍一(1952~2023年)は、作曲家、音楽プロデューサー、アーティストとして国際的に活動しました。
1978年にはソロアルバム『千のナイフ』を発表。同年、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の結成にも参加しています。
電子音楽、クラシック音楽、映画音楽、オペラなど、幅広い分野で作品を発表してきました。
一方、2000年代以降は、映像作家や美術家、プログラマーなどとの共同制作を通じて、音を空間の中でどのように感じられるのかという表現にも取り組みました。
今回の台北展は、そうした創作活動に焦点を当てています。
7組の大型インスタレーションを展示
台北市立美術館の公式案内によると、今回の展覧会では7組の大型インスタレーションが紹介されます。
参加する共同制作者には、高谷史郎、真鍋大度、カールステン・ニコライ、アピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalanなどが名を連ねています。
作品では、音と映像を組み合わせるだけでなく、水や霧、自然環境のデータ、目に見えない電磁信号なども表現の要素となっています。
例えば、真鍋大度との共同作品では、通常は目や耳で捉えられない電磁信号を、映像や音によって知覚できる形へと変換しています。
また、高谷史郎との作品では、水や映像、音響を組み合わせ、時間と空間の関係を探ります。
ここでの音楽は、決められた時間に演奏が始まり、終わるという形だけではありません。
来場者が空間に身を置き、自分の感覚で作品と向き合うことも、鑑賞体験の一部となります。
オペラ『LIFE』から続く表現の探求
今回の展示では、1999年のオペラ『LIFE』に関する資料も紹介されています。
『LIFE』は、坂本龍一が音楽と舞台表現を結びつけた作品です。
その後、坂本龍一は映像や空間表現を取り入れた作品を発展させていきました。
展覧会では、こうした活動の変遷をたどりながら、生命、環境、技術、共生といったテーマにも目を向けています。
坂本龍一の音楽を知っている方にとっても、普段のコンサートや録音作品とは異なる側面に触れられる構成です。
廃棄されたピアノを活用する参加型企画「聲音盒」
展覧会に関連する公開プログラムとして、「聲音盒(サウンドボックス)」も案内されています。
現地報道によると、廃棄されたピアノを再利用し、来場者が音を組み合わせて表現を楽しめる参加型の取り組みです。
ここで注目したいのは、来場者が完成した作品を鑑賞するだけでなく、自ら音に関わる機会が設けられていることです。
楽器や音楽の専門知識がなくても、音を出す、組み合わせる、変化を感じるといった体験から、音楽への関心が生まれる可能性があります。
なお、この企画は展覧会に関連する公開プログラムであり、7組の大型インスタレーションとは区別して紹介されています。
参加日程や条件については、美術館の公式案内を確認する必要があります。
台湾で日本の現代芸術を紹介する意味
坂本龍一の活動は、日本国内だけでなく、海外の音楽や現代美術にも大きな接点を持ってきました。
今回の展覧会でも、日本のアーティストだけでなく、ドイツやタイなどにゆかりのある芸術家との共同作品が紹介されています。
そのため、この展覧会は日本の音楽家を台湾で紹介する催しであると同時に、国境や表現分野を越えた共同制作の成果を伝える場でもあります。
音楽、美術、映像、技術といった異なる分野が交わることで、作品の楽しみ方も広がります。
台湾の美術館がこうした展示を開催することは、日本と台湾の文化交流を考えるうえでも興味深い動きです。
地域の文化施設や音楽活動にもつながる視点
今回の展覧会は、地域の文化施設や音楽活動にとっても参考になります。
例えば、音楽イベントでは、演奏を聴くことが中心となる場合が多くあります。
しかし、楽器の仕組みを知る体験や、音の響きを比べる企画、映像と音を組み合わせた展示など、音楽に触れる方法はさまざまです。
子どもから大人まで参加できる音のワークショップや、地域の音楽家と美術家が協力する企画も考えられます。
もちろん、今回のような大型インスタレーションを地域でそのまま再現することは簡単ではありません。
それでも、音楽を一方向に鑑賞するだけでなく、来場者が自分の感覚を使って参加できる場をつくるという考え方は、規模を問わず参考になります。
まとめ――音楽を通じて世界の感じ方を広げる
台北市立美術館で始まった「坂本龍一|觀音.聽時」は、7組の大型インスタレーションを通じて、坂本龍一が探求してきた音と空間、自然、技術の関係を紹介する展覧会です。
音楽を聴くことから、音を見たり、空間の中で感じたりすることへ。
今回の展覧会は、音楽という表現の可能性を、あらためて考えさせる内容となっています。
台湾で日本の現代芸術がどのように紹介されているのか。
そして、文化施設が来場者にどのような体験を提供できるのか。
そうした視点からも注目したい展覧会です。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、今後も台湾と日本をつなぐ文化・芸術の動きをご紹介してまいります。
展覧会情報
坂本龍一|觀音.聽時
会期:2026年10月31日(土)~2027年3月14日(日)
会場:台北市立美術館(臺北市立美術館)
所在地:台北市中山区中山北路三段181号
内容:大型インスタレーション7組、関連資料、公開プログラムなど
公式案内:
https://www.tfam.museum/Exhibition/Exhibition_Special.aspx?ddlLang=zh-tw&id=817
※開館時間、休館日、観覧料金、関連企画の参加条件は公式サイトをご確認ください。
参考資料
台北市立美術館「坂本龍一|觀音.聽時」
中央通信社(2026年10月30日)
https://www.cna.com.tw/news/acul/202610300296.aspx
| 名称 | まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部 |
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| フリガナ | マチノネゴウドウガイシャ タイワンビジネスジギョウブ |
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