まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
映画・ドラマ・出版・アニメの国際見本市。台湾が作品を海外へ売り込むだけでなく、世界とともに制作する仕組みを考える
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい文化や産業の動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾で開催される国際コンテンツ見本市「TCCF 2026(Taiwan Creative Content Fest)」をご紹介します。
台湾の文化内容策進院(TAICCA)は2026年10月30日、11月6日から9日まで開催されるTCCF 2026について、新たな内容を発表しました。
市場展には、28か国・地域から251人の海外バイヤーが参加する予定です。
対象となるのは、映画、ドラマ、出版、アニメーション、新しいデジタルメディアなど、幅広いコンテンツ産業です。
今回注目したいのは、台湾が自国の作品を海外に紹介するだけでなく、海外の制作会社や投資家、流通事業者を台湾へ呼び込み、国際共同制作の機会をつくろうとしている点です。
TCCFとは何か
TCCFは、台湾の文化コンテンツ産業を国内外につなぐための国際的な見本市です。
主催に関わる文化内容策進院(TAICCA)は、台湾の文化コンテンツ産業の発展や海外展開を支援する機関です。
映画やドラマ、アニメ、出版などの分野では、作品を完成させるまでに、企画、資金調達、制作、販売、配信といった多くの段階があります。
海外展開においては、完成した作品を販売するだけでなく、企画段階から共同制作の相手を探すことも重要になります。
TCCFは、そうした事業者同士の接点をつくる場として位置づけられています。
28か国・地域から251人の海外バイヤーが参加予定
2026年の市場展には、28か国・地域から251人の海外バイヤーが参加する予定です。
海外バイヤーとは、映画やドラマなどの作品について、購入や配給、配信、出版、事業提携などを検討する事業者を指します。
多様な国・地域のバイヤーが一つの会場に集まることで、台湾の制作会社や出版社、クリエイターが海外市場と接点を持つ機会になります。
ただし、251人という数字は参加予定人数であり、商談の成立件数や契約金額ではありません。
展示会の成果を判断するには、実際にどのような取引や共同制作につながったのか、開催後の情報を確認する必要があります。
国際共同制作が企画提案の中心に
今回のTCCFでは、企画提案部門において、台湾が主導または参加する国際共同制作案件が、選出企画の6割を超えていると報じられています。
国際共同制作とは、異なる国や地域の制作会社などが協力し、一つの作品を企画・制作することです。
映画であれば、企画開発、撮影、資金調達、編集、配給などを複数の国の事業者が分担する場合があります。
アニメーションやドラマ、出版などでも、共同開発や海外展開に向けた連携が考えられます。
ここで重要なのは、台湾の文化産業が完成した作品を輸出するだけではなく、制作の初期段階から海外との関係を築こうとしていることです。
ただし、選出企画に国際共同制作案件が多いことと、すべての企画が実際に制作・公開されることは別です。
今後、どの企画が具体的な契約や制作へ進むのかが注目されます。
金馬奨との連携で若手俳優を海外へ紹介
今年の新しい取り組みとして、台湾の映画賞「金馬奨」と連携し、台湾の若手俳優を海外の関係者へ紹介する企画が初めて実施されます。
映画やドラマの国際展開では、作品の企画や映像技術だけでなく、出演する俳優の認知度や国際的な活動機会も重要になります。
海外の制作会社やキャスティング関係者に俳優を紹介することで、今後の出演や共同制作につながる接点を生み出すことが期待されます。
ただし、今回の発表時点で、具体的な海外作品への出演決定を示すものではありません。
作品だけでなく、人材そのものを海外市場につなげようとしている点が、今回の企画の特徴です。
なぜ台湾は海外のバイヤーを呼び込むのか
文化コンテンツを海外に展開する方法には、いくつかの形があります。
完成した作品を海外の配信会社や出版社に販売する方法。
海外の制作会社と共同で新しい作品を開発する方法。
あるいは、海外の企業から資金や技術の協力を得る方法もあります。
こうした取引では、制作会社同士が継続的な関係を築くことが重要になります。
台湾国内に海外バイヤーや制作関係者を招く見本市は、そのための接点を一度に設ける仕組みと考えられます。
また、台湾側のクリエイターや制作会社にとっては、海外市場がどのような作品を求めているのかを知る機会にもなります。
単なる作品展示ではなく、文化を産業として育てるための商談の場であることが、TCCFの重要な特徴です。
日本の映像・出版・クリエイターにも関係する動き
台湾のコンテンツ産業の国際化は、日本の事業者にとっても無関係ではありません。
日本には、映画、アニメーション、漫画、出版、音楽など、多様な文化コンテンツの制作事業者が存在します。
台湾の制作会社や出版社と連携することで、作品の共同開発、翻訳、出版、映像化など、さまざまな可能性が考えられます。
また、地域の文化や歴史を題材にした作品であれば、自治体や地域事業者との協力が必要になる場合もあります。
ただし、今回のTCCFの発表だけで、日本企業との具体的な新規契約が成立したとはいえません。
日本の事業者にとっては、台湾の制作会社や文化機関がどのような国際的なネットワークを形成しているのかを知る機会として捉えることができます。
地域文化を作品にするという視点
今回の話題は、東村山市・小平市・東大和市のような地域にとっても、考える材料になります。
地域には、歴史、祭り、伝統技術、商店街、人々の暮らしなど、さまざまな文化資源があります。
そうした地域の題材は、映像作品や書籍、漫画、音楽などの表現につながる可能性があります。
ただし、地域の文化を作品として発信するには、取材や権利処理、制作費、流通など、多くの課題があります。
TCCFのような見本市は、文化的な企画を事業として成立させるために、制作側と流通・投資側をつなぐ仕組みとして参考になります。
地域の魅力を発信する際にも、単に情報を紹介するだけでなく、どのような作品や体験として伝えられるのかを考える視点が重要になるでしょう。
まとめ――文化を世界へ届けるための仕組み
TCCF 2026では、28か国・地域から251人の海外バイヤーが参加する予定です。
さらに、企画提案部門では国際共同制作案件が選出企画の6割を超え、金馬奨と連携した若手俳優の海外紹介企画も実施されます。
今回の動きから見えてくるのは、台湾が文化コンテンツを海外へ紹介するだけでなく、制作、投資、流通、人材交流を結びつけようとしていることです。
もちろん、参加者数や企画数だけで成果を判断することはできません。
実際の契約や作品化、海外市場での展開については、開催後の動向を確認する必要があります。
それでも、文化を国際的な産業として発展させるために、海外の事業者を台湾へ呼び込む仕組みは、日本の文化・地域事業者にとっても参考になるものです。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、今後も台湾と日本の文化産業をつなぐ動きをご紹介してまいります。
開催情報
TCCF 2026(Taiwan Creative Content Fest)
開催期間:2026年11月6日(金)~9日(月)
主催関連機関:文化内容策進院(TAICCA)
対象分野:映画、ドラマ、出版、アニメーション、新メディアなど
公式サイト:
https://www.tccf.tw/en
※商談参加条件や各企画の開催場所・時間は公式サイトをご確認ください。
参考資料
中央通信社(2026年10月30日)
「文策院TCCF大會迎海外買家 首度攜手金馬獎推台灣新秀演員」
https://www.cna.com.tw/news/acul/202610300266.aspx
TCCF公式サイト
https://www.tccf.tw/en
※海外バイヤー数は開催前の参加予定人数です。契約件数や成約実績を示すものではありません。
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