まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
2023年から累計303チームを支援。政府による起業支援から商品化、販路開拓へとつなぐ仕組みとは
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾政府が進める若者による地方創生支援と、その先にある海外市場への展開についてご紹介します。
台湾の国家発展委員会は、2026年10月31日から11月1日にかけて、若者による地方創生事業の成果発表会を開催しました。
2026年は104チームを採択し、2023年の事業開始以来、支援したチームは累計303に達しました。
さらに11月1日、台湾の経済部長(経済相)である龔明鑫氏は、地方創生に取り組むチームが商品を事業化し、海外市場へ展開する場合には、経済部中小及新創企業署が支援できるとの考えを示しました。
今回注目したいのは、地域で事業を始める若者への資金支援だけでなく、生まれた商品やサービスを市場に届ける次の段階まで、政府が支援の可能性を示していることです。
2026年は104チームを採択
国家発展委員会が進める若者向け地方創生支援事業では、地域で新たな事業に取り組む若者たちを支援しています。
2026年の採択は、一般枠65チーム、公益性を重視する枠39チームの計104チームです。
発表資料によると、支援額は一般枠が1チーム当たり35万台湾ドル、公益枠が68万台湾ドルとされています。
1台湾ドルを約5円として概算すると、それぞれ約175万円、約340万円に相当します。
ただし、円換算額は為替レートによって変動します。また、採択された全チームが同額の資金を受け取るのか、支給条件や精算方法がどうなっているのかは、制度の詳細を確認する必要があります。
2023年の事業開始以来、累計303チームが支援対象となりました。
地域に根付いた事業を立ち上げようとする若者に、初期段階で必要となる資金や機会を提供する取り組みです。
地方創生は「移住」だけではない
地方創生という言葉からは、人口減少への対応や移住促進を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、地域で新しい事業を生み出すことも、地方創生の重要な要素です。
例えば、地元の農産物を使った加工食品の開発、伝統工芸の新商品づくり、地域文化を活用した観光体験、地域課題に対応するサービスなどが考えられます。
こうした取り組みでは、地域の資源や人材を活用しながら、事業として継続できる仕組みをつくることが求められます。
一方、事業を立ち上げることと、安定した収益を確保することは別の課題です。
商品が完成しても、販売先が見つからなければ事業を続けることは難しくなります。
その意味で、今回の発表は、地方創生の次の段階に目を向けた動きとして捉えられます。
経済部長が海外展開への支援に言及
11月1日の成果発表会で、経済部長の龔明鑫氏は、地方創生チームが商品を事業化し、海外市場へ展開する際には、経済部中小及新創企業署が協力できると説明しました。
国家発展委員会による地方創生支援と、経済部による中小企業・スタートアップ支援をつなぐ可能性が示されたことになります。
例えば、地域の農産物を使った食品が開発された場合、国内での販売に加え、海外市場での需要を探ることも考えられます。
しかし、輸出には現地の流通事業者との商談、食品の表示や輸入規制への対応、価格設定、物流など、多くの課題があります。
今回の発言は、そうした事業化や海外展開の段階でも、政府の支援機関が役割を果たせるという方向性を示したものです。
ただし、104チームすべてが海外展開を目指しているわけではありません。
また、新たな輸出補助制度の創設や、個別企業への支援決定が発表されたという意味でもありません。
今後、具体的な支援内容や対象条件が明らかになるかが注目されます。
台湾の地域商品が日本へ届く可能性
台湾には、地域ごとに特色ある食品、お茶、コーヒー、工芸品などがあります。
それらを海外市場に紹介するには、商品そのものの魅力に加えて、現地の消費者や事業者にどのように伝えるかが重要になります。
例えば、台湾の地方で開発された食品を日本で販売する場合、日本の食品表示制度や輸入条件を確認する必要があります。
また、日本の小売店や飲食店がどのような商品を求めているのか、価格や供給量が合うのかといった点も検討しなければなりません。
台湾側で地方創生事業への支援が進み、商品化や販路開拓の取り組みが広がれば、日本の輸入事業者や飲食事業者にとっても、新しい取引先を探す機会になる可能性があります。
ただし、今回の発表から、具体的な商品の日本進出や新規取引の成立が確認されたわけではありません。
日本の地域事業者支援にも参考になること
この取り組みは、日本の地域事業者支援を考えるうえでも参考になります。
地域の起業支援では、開業時の資金や事業計画の作成を支援することが重要です。
しかし、開業後には集客、販売、商品改良、取引先の開拓など、別の課題が生まれます。
特に小規模な事業者にとっては、商品をつくる技術があっても、それを広く知ってもらうための時間や人員が不足する場合があります。
そのため、地域で新しい事業を生み出すことに加え、事業を継続させるための販路や情報発信の仕組みも必要になります。
台湾の今回の動きは、起業支援から市場開拓までを、どのようにつなげるかという視点を示しています。
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