まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
日本旅行の予約取扱額67%がゴールデンルート以外に。台湾の旅行者が求める「まだ知らない日本」とは
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい産業動向や地域振興の試みを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾から日本を訪れる旅行者の行き先に関する、新しい調査結果をご紹介します。
2026年10月27日、楽天トラベルは台湾市場における訪日旅行の予約動向を発表しました。
同社の内部データによると、2026年1月から9月までの日本旅行予約取扱額のうち、67%が東京・京都・大阪などの定番観光ルート、いわゆる「ゴールデンルート」以外の地域に向けられていました。
さらに、福岡、沖縄、石川、広島、青森などへの関心が高まっていることも報告されています。
日本旅行を繰り返し楽しむ台湾の旅行者が、これまで訪れたことのない地域や、より深い体験を求めている可能性が見えてきます。
予約取扱額の67%が定番ルート以外に
今回、最初に確認しておきたいのは「67%」という数字の意味です。
これは、楽天トラベルが把握する予約取扱額のうち、定番ルート以外の地域が占める割合です。
台湾人旅行者全体の67%が地方を訪問したという意味ではありません。
また、旅行者の人数や宿泊件数の割合を示したものでもありません。
予約取扱額は金額を基準とするため、宿泊単価や滞在日数などによっても構成比が変わります。
その点に注意する必要はありますが、楽天トラベルという旅行予約サービスにおいて、定番ルート以外の地域が大きな割合を占めていることは、注目すべき結果です。
福岡、沖縄、石川、広島、青森への関心が上昇
楽天トラベルの発表では、2025年との比較で、福岡、沖縄、石川、広島、青森などへの関心が高まっているとされています。
これらの地域には、それぞれ異なる魅力があります。
福岡は食文化や都市観光、沖縄は海やリゾート、石川は伝統工芸や温泉、広島は歴史や地域文化、青森は自然や四季の景観などです。
ただし、今回のデータから、どの観光資源が予約増加の直接的な理由になったのかまでは断定できません。
重要なのは、台湾の旅行者が日本を一つの観光地として見るのではなく、地域ごとに異なる体験を求めている可能性があることです。
旅行者800人への調査では「穴場」への関心も
楽天トラベルは、過去1年以内に日本旅行を経験した台湾の旅行者800人を対象とした調査結果も紹介しています。
その中では、49%が日本旅行の動機として、日本を旅行すること自体への好意を示しました。
また、26.6%が、まだあまり知られていない観光地や穴場を発見することに強い関心を示しています。
訪日回数の多い旅行者では、この割合が31%に達したと報じられています。
ここで注目したいのは、日本旅行への関心が、必ずしも有名観光地を訪れることだけに向いていない点です。
何度も日本を訪れている旅行者にとっては、まだ知らない街を歩くことや、地域ならではの食文化、季節の景色を楽しむことも、旅行の目的になり得ます。
なお、これらの割合は800人へのアンケート調査に基づくものであり、前述の予約取扱額67%とは異なるデータです。
旅行は少人数化。宿泊体験への支出にも注目
今回の発表では、旅行人数や予算についても興味深い数字が示されました。
楽天トラベルの予約動向では、2人での旅行が52%を占め、1人旅も16%となっています。
また、台湾の旅行者の日本旅行1回当たりの平均予算は4万台湾ドルを超え、宿泊費が旅行予算の約半分を占めると説明されています。
これらの数字からは、少人数で旅行を楽しみ、宿泊施設や滞在体験を重視する需要を考えることができます。
ただし、宿泊費の割合が高いことだけで、高級宿泊施設への需要が全体として拡大していると断定することはできません。
地域の宿泊事業者にとっては、単に宿泊場所を提供するだけでなく、その土地ならではの食事や景観、文化体験をどのように伝えるかが、検討すべきテーマになりそうです。
「地方へ来てほしい」だけでは旅行先にならない
日本の地域では、海外からの旅行者を呼び込むための情報発信が行われています。
しかし、台湾の旅行者が定番ルート以外に関心を持っているとしても、それだけで特定の地域への訪問につながるわけではありません。
旅行者が新しい場所を選ぶには、訪問する理由が必要です。
例えば、そこでしか食べられない料理、地域の人と交流できる体験、季節限定の催し、工房見学、街の歴史を感じられる散策などです。
加えて、目的地までの交通手段や予約方法、営業時間などが分かりやすいことも重要になります。
どれほど魅力的な体験があっても、旅行者が情報を見つけられなければ、旅程の候補には入りにくくなります。
東村山・小平・東大和にも可能性はあるのか
今回の調査を、まちのね合同会社が活動する東村山市・小平市・東大和市に置き換えて考えてみます。
これらの地域は、東京を訪れる海外旅行者にとって、必ずしも最初に名前が挙がる観光地ではありません。
しかし、都心の有名観光地とは異なる、日常の暮らしや地域文化に触れられる場所でもあります。
例えば、個人経営の飲食店、地域の職人や工房、歴史ある寺院、自然のある散策路、地域で開かれる小さな催しなどです。
台湾からの旅行者に対して、こうした場所を紹介することは、一つの可能性として考えられます。
ただし、今回の楽天トラベルのデータは、北多摩地域への訪問需要が増えていることを示すものではありません。
実際に台湾の旅行者がどの程度訪れているのか、どのような体験に関心を持つのかについては、別途調査が必要です。
繁体字での情報発信は、最初の接点になる
台湾市場に向けて地域の魅力を紹介する際には、繁体字中国語で情報を届けることが、一つの入口になります。
ただし、日本語の記事をそのまま翻訳するだけでは、旅行者に必要な情報が十分に伝わらない場合もあります。
例えば、最寄り駅からの行き方、予約の必要性、支払い方法、体験に必要な時間など、旅行を計画する際に知りたい情報を整理することが重要です。
また、地域の店舗や文化施設を個別に紹介するだけでなく、半日程度で楽しめる散策コースとして提案する方法も考えられます。
「東京から少し足を延ばすと、どのような体験ができるのか」。
そうした具体的な情報が、まだ知られていない地域を旅行先として検討してもらうきっかけになるかもしれません。
まとめ――台湾の旅行者に、地域の何を伝えるか
楽天トラベルが公表した2026年1月から9月までの予約データでは、日本旅行予約取扱額の67%が、定番のゴールデンルート以外の地域に向けられていました。
また、台湾の訪日経験者800人への調査では、26.6%が穴場の発見に強い関心を示しています。
これらは異なる種類のデータですが、台湾の旅行者が日本各地の多様な体験に関心を向けていることを考える材料になります。
一方で、全国的な旅行動向が、そのまま個々の地域への集客につながるわけではありません。
地域にどのような魅力があり、誰に、どのように伝えるのか。
今回の調査は、台湾からの旅行者を迎えたい日本の地域事業者にとって、そうした基本的な問いを改めて考える機会になりそうです。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、今後も台湾と日本の地域をつなぐ観光・文化・ビジネスの動きをご紹介してまいります。
参考資料
中央通信社(CNA)2026年10月27日
「赴日旅客67%非選擇黃金路線 福岡沖繩熱度攀升顯著」
https://www.cna.com.tw/news/ahel/202610270240.aspx
経済日報 2026年10月27日
「Rakuten 樂天旅遊在台旅遊開紅盤 衝雙11旅日商機」
https://money.udn.com/money/story/5612/9840324
※本記事の予約動向は楽天トラベルの内部データに基づくものであり、台湾からの訪日旅行者全体を対象とした統計ではありません。
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