まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
コーヒー栽培面積約53ヘクタールの東山区。焙煎体験や「175コーヒーロード」を通じて産地の魅力を発信
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾南部・台南市の東山区で開催されている「2026台南東山コーヒーフェスティバル」をご紹介します。
台南市政府農業局は2026年10月25日、今年のイベントの開幕を発表しました。
テーマは「咖啡紅了・東山盛開」。コーヒーの実が赤く色づく季節と、東山の魅力が花開く様子を重ねた言葉です。
今回注目したいのは、コーヒーを販売するだけでなく、コーヒーが育つ土地そのものを訪れてもらう観光の仕組みです。
台南市のコーヒー栽培面積の約85%が東山区に
台湾のコーヒー産地としては、阿里山や雲林県などが知られていますが、台南市の東山区もコーヒー栽培が行われている地域です。
台南市政府によると、市内のコーヒー栽培面積は約62ヘクタール。そのうち東山区は約53ヘクタールを占めています。
面積で見ると、台南市全体の約85%に相当します。
つまり、東山区は台南市のコーヒー栽培を支える中心的な地域の一つです。
山間部の地形や自然環境の中で育てられるコーヒーは、農産物であると同時に、地域を訪れるきっかけとなる観光資源でもあります。
飲むだけではない、コーヒーの体験イベント
今回のフェスティバルでは、地元産コーヒーの販売に加え、さまざまな体験企画が用意されています。
ハンドドリップ体験では、抽出方法によって変わるコーヒーの味わいや香りを楽しむことができます。
焙煎体験では、生豆が加熱され、香りや色が変化していく工程に触れられます。
また、コーヒーかすを活用した工作や、地域農産物を紹介する市なども開催されています。
こうした企画は、完成した商品を購入するだけでは知ることのできない、コーヒーづくりの工程や地域の産業への関心を高める機会となります。
コーヒーを飲むことから、生産地や生産者を知ることへ。
今回のイベントには、そうした体験の広がりがあります。
11月1日は「175コーヒーロード」を歩く
今回の取り組みで、特に注目したいのが11月1日に予定されている「175コーヒーロード」のウォーキングイベントです。
台南市東山区には、山間部を走る市道175号線沿いにコーヒー関連の店舗や地域の飲食店などが点在しています。
この道路は「175咖啡公路(175コーヒーロード)」として知られています。
今回のイベントでは、この地域を歩きながら、山間部の景観やコーヒー文化、地元料理などに触れる機会を設けています。
重要なのは、コーヒーを目的に訪れた人に、地域の風景や食文化も楽しんでもらうという考え方です。
コーヒー店を一軒訪れて帰るのではなく、周辺地域にも目を向けてもらう。
そうした観光の組み立て方が、今回の企画の特徴です。
コーヒー産地を地域ブランドとして育てる
コーヒーの産地を紹介するとき、味や香り、品種、焙煎方法などが中心になることがあります。
もちろん、これらは商品としての魅力を伝えるうえで重要です。
しかし、地域産業という視点から考えると、もう一つ大切なことがあります。
それは、コーヒーがどのような土地で育ち、どのような人々によって生産されているのかという背景です。
産地を実際に訪れ、自然環境や地域の食文化に触れることで、商品だけでは伝えきれない魅力を知ることができます。
東山コーヒーフェスティバルは、そうした産地の魅力を、体験を通じて紹介する取り組みといえます。
ただし、イベントによって実際に農家の収入や観光消費が増加したかどうかは、今回の発表だけでは判断できません。
関子嶺温泉美食節ともつながる東山のコーヒー
東山のコーヒーは、同じ台南市で開催されている「関子嶺温泉美食節」とも関連しています。
関子嶺温泉美食節では、関子嶺の温泉、東山のコーヒー、後壁の米など、周辺地域の資源を組み合わせた観光企画が展開されています。
一方、今回の東山コーヒーフェスティバルは、コーヒー産地そのものに焦点を当てています。
同じコーヒーという地域資源でも、温泉観光と組み合わせる方法と、生産地を歩いて体験する方法では、旅行者への伝え方が異なります。
複数の企画を通じて、地域産品の魅力をさまざまな角度から紹介できることも興味深い点です。
日本の地域農業や観光にも参考になること
今回の東山の取り組みは、日本の地域農業や観光にも参考になります。
例えば、茶畑や果樹園、農産物直売所などを、商品を購入する場所としてだけでなく、地域を訪れて楽しむ場所として紹介することです。
農産物の収穫体験、加工体験、生産者との交流、周辺の飲食店などを組み合わせることで、一つの地域の中に複数の訪問目的をつくることができます。
東村山市・小平市・東大和市周辺にも、農産物直売所や地域の飲食店、自然を楽しめる場所があります。
それぞれを独立して紹介するだけでなく、地域の暮らしや産業を知る体験としてつなげることも考えられます。
ただし、実際に観光ルートをつくるには、交通手段、営業時間、受け入れ体制、参加事業者の負担などを考慮する必要があります。
大切なのは、地域にすでにある資源を見つめ直し、それらを訪れる人の体験としてどう結びつけるかという点です。
まとめ――コーヒーから地域を知る旅へ
2026台南東山コーヒーフェスティバルでは、コーヒーの販売だけでなく、ハンドドリップや焙煎の体験、農産物の紹介、175コーヒーロードを歩く企画などが展開されています。
台南市のコーヒー栽培面積の大部分を占める東山区にとって、コーヒーは地域を代表する農産物の一つです。
その魅力を、味わうことだけでなく、産地を訪れ、風景や食文化に触れる体験へと広げています。
農産物を販売することと、産地を訪れてもらうこと。
この二つを結びつける取り組みは、日本の地域産業や観光を考えるうえでも参考になるのではないでしょうか。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、今後も台湾各地の地域ブランドや農業、観光の取り組みを、日本の地域事業者の皆さまにご紹介してまいります。
参考資料
台南市政府農業局「2026台南東山コーヒーフェスティバル」に関する2026年10月25日発表
https://www.tainan.gov.tw/News_Content.aspx?n=13370&s=8843441
※栽培面積や開催内容は台南市政府の発表に基づきます。
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