まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
泥湯温泉とコーヒー、米づくりを結ぶ地域観光の仕組み
21事業者が優待に参加。温泉だけでなく、周辺地域の食・農業・文化を巡る観光へ
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾南部の台南市で2026年10月24日に開幕した「関子嶺温泉美食節(關子嶺溫泉美食節)」をご紹介します。
今年で第22回を迎えるこの催しでは、関子嶺の温泉だけでなく、周辺地域のコーヒーや米、農業体験などを組み合わせた観光企画が展開されています。
注目したいのは、一つの観光地へ人を集めるだけでなく、周辺地域のさまざまな事業者にも足を運んでもらおうとする仕組みです。
台湾南部の温泉地・関子嶺で始まった美食イベント
台南市北東部に位置する関子嶺は、泥を含んだ温泉で知られる温泉地です。
温泉を楽しむだけでなく、周辺には山間部の自然や農業、食文化など、さまざまな地域資源があります。
2026年の「関子嶺温泉美食節」は、10月24日から11月22日まで開催されます。
開幕日には、キノコとタケノコを使ったスープ1,000食が提供されました。
地元の食材を生かした料理を通じて、温泉地の魅力だけでなく、周辺地域の食文化にも関心を持ってもらう取り組みです。
関子嶺の温泉、東山のコーヒー、後壁の米を結ぶ
今回の催しで特徴的なのは、異なる地域の特産品を組み合わせていることです。
関子嶺の温泉に加え、東山区のコーヒー、後壁区の米など、それぞれの地域が持つ資源を一つの観光企画の中で紹介しています。
東山は台湾のコーヒー産地の一つとして知られ、後壁は米づくりが盛んな地域です。
それぞれの土地にある特色を、単独で紹介するのではなく、温泉旅行と組み合わせて楽しんでもらうことを目指しています。
例えば、温泉を訪れた旅行者が周辺地域のコーヒーを味わい、農産物や食文化にも触れる。
こうした旅の組み立て方によって、温泉施設以外の地域事業者にも観光客との接点が生まれる可能性があります。
11月7日には東山コーヒーと地域食材を使った料理も
11月7日には、東山コーヒーと地域食材を使った料理の提供が予定されています。
コーヒーを単なる飲み物として紹介するのではなく、地域の食材と組み合わせることで、新しい食の楽しみ方を提案する企画です。
台湾のコーヒー産地というと阿里山などが注目されることもありますが、台南の東山にもコーヒーづくりの文化があります。
こうした地域産品を観光イベントの中で紹介することは、旅行者にとって新しい産地を知るきっかけになります。
また、地域の生産者や飲食事業者にとっても、自分たちの商品や取り組みを観光客に伝える機会となります。
21事業者が優待に参加――地域を巡るきっかけづくり
今回の発表で、もう一つ注目したいのが、21事業者による優待施策です。
温泉施設やコーヒー関連事業者などが参加し、イベント期間中の利用を促す取り組みが用意されています。
観光イベントは、会場に人が集まっても、周辺の店舗まで利用が広がるとは限りません。
そこで、地域の事業者が共通の企画に参加することで、旅行者に複数の立ち寄り先を提示することができます。
温泉に入る、食事をする、コーヒーを飲む、地域の商品を購入する。
一つひとつは異なる消費行動ですが、旅行者にとっては一日の観光体験として組み合わせることができます。
農業体験を含む小旅行も募集
今回の温泉美食節では、農業体験を組み込んだ小旅行の募集も行われています。
温泉や食事だけでなく、農業という地域の暮らしや産業に触れる体験を組み合わせている点も特徴です。
農業体験は、農産物を購入するだけでは分からない、生産地の環境や仕事への理解を深める機会になります。
観光客にとっては、地域を訪れる理由が増えることにもつながります。
こうした企画は、観光を特定の施設だけで完結させず、地域の産業や暮らしへと広げる方法の一つと考えられます。
日本の地域観光にも参考になる「組み合わせ」の発想
今回の関子嶺温泉美食節から考えられるのは、一つの観光資源だけでなく、周辺地域の魅力を組み合わせて紹介することの重要性です。
日本でも、観光名所と飲食店、農産物直売所、カフェ、体験施設などが、それぞれ独立して情報発信している地域は少なくありません。
しかし、旅行者の立場から見ると、それらを一つの旅として楽しめるように紹介することで、訪問先の選択肢が広がります。
例えば、東京都の東村山市・小平市・東大和市周辺でも、多摩湖周辺の自然、地域の飲食店、農産物、文化施設などを組み合わせた地域の楽しみ方を考えることができます。
重要なのは、単に複数の場所を並べることではありません。
移動時間や交通手段、営業時間、体験の予約方法などを含め、実際に巡ることができる情報として整理することです。
また、観光客だけでなく、近隣地域に住む人が普段訪れない店舗や場所を知るきっかけとしても、こうした仕組みは活用を考えられます。
観光の目的地から、地域全体の体験へ
関子嶺温泉美食節は、温泉という知名度のある観光資源を入口に、コーヒー、米、地域の食材、農業体験、商店などを結びつける取り組みです。
今後、実際に旅行者の滞在時間や地域内の消費が増えたかどうかを判断するには、来場者数や利用実績などの検証が必要です。
それでも、地域に点在する資源を一つの観光体験として組み立てるという考え方は、日本の地域観光にも参考になるものです。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、台湾各地の観光・文化・地域産業の取り組みを通じて、日本の地域づくりや事業者の皆さまにもつながる視点をご紹介してまいります。
参考資料
台南市政府観光旅遊局「2026關子嶺溫泉美食節」に関する2026年10月24日発表
https://www.tainan.gov.tw/News_Content.aspx?n=13370&s=8843433
※開催内容、優待条件、体験企画の募集状況は変更される場合があります。最新情報は主催者の公式発表をご確認ください。
| 名称 | まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部 |
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