まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
訪日旅行消費額で台湾が首位に――3か月で3,818億円、日本の地域商店が注目したい台湾市場
2026年7~9月期の旅行消費額は前年同期比26.2%増。買物・飲食だけで2,146億円に
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい動きを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、日本を訪れる台湾の旅行者が、日本国内でどれほどのお金を使っているのか、最新の政府統計から考えます。
2026年10月21日、観光庁が公表した「インバウンド消費動向調査」によると、2026年7~9月期の台湾からの訪日旅行消費額は3,818億円に達し、国・地域別で首位となりました。
これは2026年の年間順位ではなく、7~9月の3か月間についての1次速報値です。
今回注目したいのは、台湾市場の規模だけではありません。
そのうち買物代が1,307億円、飲食費が839億円に達していることです。
この数字は、日本の地域商店や飲食店にとって何を意味するのでしょうか。
台湾が3,818億円で首位、前年同期比26.2%増
観光庁の発表によると、2026年7~9月期の訪日外国人旅行消費額は、全体で2兆2,076億円。前年同期比3.2%の増加となりました。
国・地域別では、台湾が3,818億円で最も大きく、全体の17.3%を占めています。
上位5市場は次のとおりです。
| 順位 | 国・地域 | 旅行消費額 |
|---|---|---|
| 1 | 台湾 | 3,818億円 |
| 2 | 中国 | 3,583億円 |
| 3 | 韓国 | 2,938億円 |
| 4 | 米国 | 2,409億円 |
| 5 | 香港 | 1,555億円 |
台湾の前年同期の旅行消費額は3,026億円でした。
今回はそこから792億円増え、前年同期比26.2%増となっています。
ただし、首位となった背景には、他市場の変動もあります。
2025年7~9月期に5,950億円で首位だった中国は、2026年同期には3,583億円へ減少しました。
台湾の消費額そのものが伸びたことと、国・地域別の順位が変化したことは、分けて理解する必要があります。
買物代1,307億円、飲食費839億円
台湾の旅行者は何にお金を使っているのか
今回の調査では、台湾からの訪日旅行消費額について、費目別の内訳も公表されています。
| 費目 | 消費額 |
|---|---|
| 買物代 | 1,307億円 |
| 宿泊費 | 1,161億円 |
| 飲食費 | 839億円 |
| 交通費 | 339億円 |
| 娯楽等サービス費 | 169億円 |
| その他 | 3億円 |
※端数処理により、内訳の合計は総額と一致しない場合があります。
台湾市場では、買物代が最も大きな費目となっています。
買物代と飲食費を合わせると2,146億円。台湾の旅行消費額全体の約56.2%に相当します。
この数字からは、訪日旅行が宿泊や交通だけでなく、商品購入や食事を通じて日本国内の幅広い事業者と接点を持つ経済活動であることが分かります。
一方で、この統計だけでは、具体的にどのような商品が購入されたのか、個人商店と大型商業施設のどちらで消費されたのかまでは分かりません。
地域商業への影響を考えるには、さらに詳しい調査が必要です。
1人当たりの旅行支出は約19万9,000円
観光庁の調査では、台湾からの訪日外国人一般客1人当たりの旅行支出は、199,028円と推計されています。
前年同期比では9.6%の増加です。
なお、この金額は観光・レジャー目的に限らず、業務や親族・知人訪問なども含む全目的の一般客の平均値です。クルーズ客は含まれません。
台湾の旅行消費額の増加を考える際には、訪日する人数だけでなく、1人当たりの支出額も重要な指標になります。
今回の統計では、台湾の一般客数と1人当たり旅行支出の双方が前年同期を上回っています。
9月の訪日台湾人旅行者も過去最高に
日本政府観光局(JNTO)が同じ10月21日に公表した2026年9月の訪日外客数でも、台湾市場の動きが確認できます。
9月の訪日外客数は、日本全体で310万3,700人。前年同月比5.0%の減少となりました。
その一方、台湾は9月として過去最高を記録した7市場の一つとなっています。
ここで注意したいのは、旅行消費額と訪日外客数では集計期間が異なることです。
旅行消費額の3,818億円は7~9月の3か月間、JNTOの9月の訪日外客数は1か月間の統計です。
両者を単純に割り算して、1人当たりの旅行支出を算出することはできません。
日本企業はすでに台湾現地で「訪日前の買い物需要」に働きかけている
こうした台湾市場の規模を考えるうえで、関連する企業の取り組みもあります。
JR東日本クロスステーションは、2026年11月6日から9日まで台北で開催される「2026台湾国際旅行博」への出展を発表しました。
東京駅の「グランスタ」に加え、今回は「エキュート」が初めて参加します。
現地の来場者に対し、質問への回答からおすすめの商品や店舗を紹介する診断企画、日本の対象施設で利用できるクーポンの配布などを予定しています。
これは、日本へ到着した旅行者を待つだけでなく、旅行前の台湾現地で日本の店舗や商品を知ってもらう取り組みです。
今回の観光庁の統計と合わせて見ると、台湾市場に向けて、訪日前から買い物や飲食の情報を届けることの意義を考える具体例となります。
東村山・小平・東大和の地域事業者にも可能性はあるのか
では、こうした台湾市場の動きは、大都市の商業施設だけに関係するものなのでしょうか。
地域の飲食店や小売店にとっても、考える余地があります。
例えば、地域ならではの菓子や食品、飲食店、伝統文化、体験型サービスなどを、台湾の旅行者に分かりやすい形で紹介することです。
その際に大切なのは、単に日本語を中国語に翻訳することだけではありません。
台湾の旅行者が、なぜその地域へ足を運びたいと思うのか。どのような商品や体験が旅の目的になるのか。駅から店舗まで、どのように移動できるのか。
こうした情報を、旅行者の立場から組み立てる必要があります。
例えば、繁体字による店舗紹介に加え、最寄り駅からのアクセス、営業時間、予約方法、支払い方法、商品の特徴などを整理することも、来店を検討するための情報になります。
もちろん、全国の旅行消費額が増加しているからといって、東村山市・小平市・東大和市への台湾人旅行者が増えていると判断することはできません。
地域への訪問状況や需要を調べたうえで、対象となる旅行者にどのような情報を届けるべきかを考えることが重要です。
台湾市場を知ることから始まる日台ビジネス
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へ紹介するとともに、日本と台湾をつなぐ通訳・翻訳、情報発信、販路開拓支援などに取り組んでおります。
今回の統計は、台湾市場を考えるうえで、一つの重要な資料となります。
台湾の商品を日本へ紹介することだけでなく、日本の地域事業者が台湾の消費者にどのように魅力を届けるか。
双方の視点から、日台間の交流と事業機会を考えていくことができます。
参考資料
観光庁「インバウンド消費動向調査2026年7~9月期(1次速報)」2026年10月21日
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00104.html
観光庁「2026年7~9月期の調査結果の概要」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002027623.pdf
日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年9月推計値)」2026年10月21日
https://www.jnto.go.jp/news/press/20261021_monthly.html
※旅行消費額は観光庁の1次速報値であり、今後改定される可能性があります。
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