まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本市場へご紹介するとともに、日本語・中国語(繁体字)のビジネス通訳・翻訳や販路開拓を通じて、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい産業動向や地域振興の試みを取り上げ、その背景にある歴史や仕組み、日本の地域づくりにもつながる視点とともにご紹介してまいります。
歴史ある製糖工場跡が文化産業の拠点へ
台湾中南部に位置する雲林県北港鎮。古くから「北港朝天宮」の門前町として親しまれ、媽祖信仰の聖地として知られるこの地に、地域の歴史的資源と現代の産業振興を融合させる新たな拠点「北港1911好庫文化產業園區」が、2026年10月23日に正式開園を迎えます。
拠点の核となるのは、日本統治時代にさかのぼる製糖業の歴史を今に伝える「北港糖廠(製糖工場)」の倉庫群です。かつて台湾の基幹産業として繁栄した北港糖廠は、約20年前に製糖を終えて閉鎖された後、長らく静かに時を重ねてまいりました。この歴史的な倉庫群や周辺空間を丁寧に修復・整備し、地域の記憶と産業文化を次世代へ引き継ぐ拠点として再生するプロジェクトが進められております。
※「百年」は歴史ある製糖施設群の歩みを指す表現であり、現存する全ての建物が特定時期の建築であることを示すものではございません。また、2026年10月19日現在、開園に向けた最終準備が進められている段階でございます。
地域の歩みを多角的に伝える3つの特別展示
開園に合わせて園内では、地域の特色と魅力を多角的な切り口で提示する3つの特別展示が企画されております。
なかでも「雲林好GOOD(S)」では、開園日の10月23日に韓国のデザイン専門家を招いた地域ブランドづくりの講座が予定されております。単なる産品の陳列にとどまらず、地域産業とデザインを結びつけ、持続的な価値を創出するための学びの場が用意されている点に特色がございます。
砂糖商人たちと媽祖信仰の深いつながり
北港における産業と歴史を紐解く上で、欠かすことができないのが砂糖商人たちと信仰の関わりです。
かつて台湾で砂糖の取引が盛んであった時代、砂糖取引に携わる商人たちによって「糖郊」と呼ばれる組織が形成されておりました。そして商人たちと関わりの深い媽祖信仰として、北港朝天宮には「糖郊媽」と呼ばれる媽祖像が大切に受け継がれてまいりました。
開園に先立つ10月18日には糖郊媽の巡行が執り行われ、10月26日まで園区の1号倉庫に安置される予定となっております。かつて産業の繁栄と人々の暮らしを支えた信仰の歴史を、現代の拠点づくりへとつなぎ直す象徴的な取り組みとして注目を集めております。
※糖郊媽の由来や組織の性格につきましては史料により多様な記述が存在するため、本記事では現地公表資料で確認された範囲に即して記載しております。
地域の菓子・工芸とデザインを組み合わせる試み
今回の園区の取り組みは、歴史的建造物の保存や鑑賞にとどまらず、地域のつくり手と市場を結びつける産業振興の側面を強く持っております。
開園記念の限定商品として、製糖倉庫の形状を模した特製ボックスに、北港名物の伝統菓子や台湾糖業公司の商品を詰め合わせたギフトセットが企画されております。地域の伝統産業の技術や味に現代的なデザインのパッケージを施すことで、新たな魅力を引き出す工夫が見られます。
さらに園内では、週末市集(マルシェ)の開催などを通じて、地元の工芸作家や食品事業者が訪れる人々と出会い、自慢の商品を直接紹介できる場を創出する構想が進められております。
※地域事業者における売上増加や具体的な商談成約などの経済効果につきましては、今後の開園後の検証事項となります。
日本の地域づくりへの示唆(編集部考察)
この北港における試みは、私どもが拠点を置く多摩地域をはじめ、日本の各地で近代化産業遺産や歴史的建造物の利活用に取り組む事業者・自治体の皆さまにとっても、多くの示唆を含んでいるものと考えられます。
日本国内においても、歴史ある倉庫や工場をリノベーションした複合施設は数多く存在いたします。しかしながら、建物のハード面を整備して観光施設化するだけでは、地域の事業者や伝統産業との実質的な連動が生まれにくく、持続的な地域経済の循環に結びつきにくいという課題がしばしば指摘されます。
北港の事例から学べるのは、産業遺産の空間をただ保存・活用するだけでなく、かつて商人たちが育んだ地域信仰という固有の歴史的文脈を丁寧に編み直し、さらに現代のデザイン手法を掛け合わせることで、地域事業者の商品や技術を現代の顧客へ届けるプラットフォームとして再構築している点です。地域のルーツに敬意を払いながら、新しいものづくりの発信地として育てていく視点は、日本の地域産業振興やエリアマネジメントにおいても大変参考になるアプローチであると存じます。
台湾ビジネス事業部より
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、「台湾の魅力が、ここに集まる。」をコンセプトに、台湾の社会・文化・産業の最新動向を丁寧にお届けしております。
台湾企業やその優れた商品の日本市場への紹介、販路開拓支援をはじめ、日台企業間の商談支援、日本語・中国語(繁体字)の通訳・翻訳まで幅広くサポートを行っております。言葉の置き換えにとどまらず、文化的背景や歴史的文脈をくみ取った伴走型の支援を大切にしております。
台湾の地域振興や産業連携の事例に関心をお持ちの事業者さま、台湾企業との連携や日本市場での展開をご検討中の皆さまは、構想段階からでもどうぞお気軽にご相談くださいませ。
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【参考情報】
本記事は、台湾・雲林県政府文化観光処および雲林県公式観光サイトが公表した情報をもとに、まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部が日本の地域産業・文化振興の視点から構成しました。
| 名称 | まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部 |
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