まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。本シリーズでは、CafeRes Japan 台湾館で出会った台湾企業を通じて、「台湾にはどのような企業があり、日本企業とのあいだにどのような可能性があるのか」をお伝えしてまいります。第3回となる本日は、台湾中部・奇萊山の山あいで茶づくりに取り組む茶半解農場(Cha Ban Jie Farm)をご紹介いたします。
台湾茶、とりわけ台湾高山茶は、「阿里山」「梨山」などの産地名や、標高とともに語られることが多くございます。しかし、茶半解農場と向き合う中で私どもが感じたのは、「台湾茶は産地名や標高だけでは語り尽くせない。土地との向き合い方、栽培、製茶、その背景にある考え方まで含めて一つのブランドになる」という視点でございました。
「茶半解」という名前に込められた、自らを戒めるまなざし
茶半解農場の創辦人は許瑞麟氏でございます。台湾中部・南投県仁愛郷、奇萊山脈の山あいに、標高約1,600メートル前後・約3.7ヘクタールの茶園を構え、2000年代半ばごろから茶づくりに本格的に取り組んでこられました。
同農場の名前「茶半解」には、公式情報として明確な由来が示されております。許氏は、茶を学べば学ぶほど、まだ分からないことが多いと感じ、「差半截(半分足りない)」という言葉の語感から「茶半解」と名付けたと説明しています。「自分はまだ茶のことをすべて理解しているわけではない」という自覚を名前に刻み、自らを励まし続ける意味を込めたものとされています。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部としては、この由来に、奇萊山という高山の自然を「分かりきった対象」として扱わず、変化の多い環境の中で学び続ける姿勢が表れているように感じております。「まだ分からないことが多い」という自覚を、あえて名前に込めていること自体が、茶半解農場という企業の在り方をよく物語っているように思われます。
奇萊山の森で茶を育てるという選択
茶半解農場が茶づくりを行っている奇萊山脈の一角、南投県仁愛郷は、台湾中部の山岳地帯に位置し、高山茶の産地としても知られております。標高が高く、霧が発生しやすい環境は、一般的に台湾高山茶の栽培に適した条件の一つとされますが、その一方で、急斜面での栽培は土壌や周辺環境への配慮も求められます。
茶半解農場は、こうした環境の中で次のような栽培方針を掲げております。
公式情報によりますと、同農場は国立中興大学の機関による有機関連の認証を受けているほか、「慈心有機農業発展基金会」が運営する「綠色保育標章(Green Conservation Label)」の認証を取得した実績がございます。綠色保育標章は、農薬や肥料の管理に加え、生物多様性や環境保全への配慮など、「農地と生き物の共存」を評価軸に含む台湾独自の制度として紹介されております。
ここでお伝えしたいのは、「高山だから良い」「有機だから優れている」といった単純な図式ではございません。茶半解農場は、奇萊山という高地の恵みと負荷の両方を踏まえながら、除草剤や葉面施肥に頼らず、有機質肥料と環境配慮を重ねることで、「森の一部として茶園を置く」あり方を模索している企業であると感じております。
森烏龍から佳葉龍まで──奇萊山の茶葉から生まれる複数の顔
茶半解農場は、奇萊山の茶園で育てた茶葉をもとに、「森烏龍(Forest Wulong)」シリーズをはじめとする複数の茶を展開しております。CafeRes Japan 2026 台湾館では、清香烏龍茶、森烏龍シリーズ、緑烏龍、冷香、佳葉龍茶など、複数のお茶が紹介されておりました。
同じ奇萊山を背景に持ちながら、それぞれ異なる香りや味わいを持つお茶が展開されていることも、茶半解農場の特徴の一つでございます。佳葉龍茶は、GABA茶として知られるタイプのお茶であり、茶半解農場でも商品として展開されていますが、詳細な製法や飲用シーンについては、公式情報の範囲に基づいてのみご紹介することが適切であると考えております。
ここで強調したいのは、「奇萊山高山茶」という一つのラベルの内側に、こうした複数の茶が並び、それぞれに異なる顔を持っているという事実でございます。産地名だけでは捉えきれない、茶半解農場ならではの茶づくりの広がりを、CafeRes Japan 2026の展示からも感じ取ることができました。
「用心做好茶」──一口の茶にどのような時間を宿すか
茶半解農場が掲げる理念の一つに、「用心做好茶」という言葉がございます。直訳すれば「心を込めて、きちんと茶をつくる」といった意味合いであり、同農場はこの言葉を、自らの茶づくりの中心に据えております。
また、同農場は公式の紹介文の中で、「一口飲めば懐かしく、幸せを感じるような茶」を目標としている旨を語っています。ここで言う「懐かしさ」「幸せ」は、派手さや話題性というよりも、飲む人の心が静かに落ち着き、山の空気や、誰かと過ごした時間をそっと思い起こさせるような感覚に近いものとして描かれているように感じられます。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部としては、「用心做好茶」という言葉を、高山での栽培や環境配慮、製茶工程での手間、そして飲み手の時間を思い描く想像力まで含めた姿勢として受け止めております。数値や評価の前に、「この一杯に、どのような時間を宿したいのか」という問いを置く茶づくりであることが、茶半解農場らしさの一つと言えるのではないでしょうか。
なお、茶半解農場は、2026年の「台湾袋茶風味與品質評選」において「一金二銅」を受賞した実績も公表しております。受賞そのものを目的とするのではなく、長年の栽培と製茶の積み重ねが客観的に評価された一例として、同農場の歩みを示す事実の一つと受け止めております。
台湾茶と向き合う日本企業への視点──「産地+農場+考え方」で見る
本記事でお伝えしたかったのは、奇萊山・茶半解農場という一つの事例を通じて、「台湾茶は『産地名』や『標高』だけで語られるものではなく、土地との向き合い方、栽培、製茶、その背景にある考え方まで含めて一つのブランドとして立ち上がっている」という視点でございます。
日本の小売店、茶専門店、飲食店などが台湾茶を扱う際には、例えば次のような問いかけ方が考えられます。
茶半解農場は、「茶半解」という名に込められた学び続ける姿勢、奇萊山の森での栽培と環境配慮、複数の茶への展開、「用心做好茶」という理念を通じて、そうした問いに向き合う一つの具体例を示している企業であると感じております。
本シリーズは、特定の商品や取引を直接おすすめするものではございません。茶半解農場の取り組みを通じて、「台湾には、このように土地と向き合い、台湾茶のものづくりを続けている企業がある」という事実をお伝えし、日本の皆さまが台湾茶や台湾ブランドと向き合う際の一つの手がかりとしていただけましたら幸いでございます。
「台湾の魅力が、ここに集まる。」ご相談の入り口として
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部は、「台湾の魅力が、ここに集まる。」をコンセプトに、台湾企業・台湾ブランド・台湾商品の背景と魅力を、日本企業の皆さまへ丁寧にお届けしてまいります。
台湾茶や台湾高山茶に関心をお持ちでも、「どの企業や農場の情報をどこから集めればよいか分からない」「産地や認証以外に、何を手掛かりに選べばよいか迷っている」「台湾企業とどのように対話を始めればよいか不安がある」とお感じになる場面も多いかと存じます。
当事業部では、台湾企業との商談や販路開拓、展示会・商談会への参加支援、通訳・翻訳を含むコミュニケーション支援など、台湾とのビジネスに関するご相談を承っております。お問い合わせは、当社Webサイトのお問い合わせフォームにて受け付けております。
台湾茶に限らず、台湾企業・台湾ブランド・台湾商品の姿勢や背景を丁寧にお伝えしながら、日本企業の皆さまと台湾側とのあいだに、落ち着いた対話の場をひらくこと。それが、まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部の役割であると考えております。
これからも台湾館で出会った企業を一社ずつ取り上げ、その背景にあるものづくりや考え方を丁寧にお届けしてまいります。台湾との新たな可能性をお考えの際は、どうぞお気軽にご相談くださいませ。
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