暮らしと仕事の「?」を調べてみた
(更新)

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)
暮らしと仕事の「?」を調べてみた|まいぷれ東村山・小平・東大和編集部
AI検索が複数のウェブサイトを引用して答えてくれたら、その情報は信用できるのでしょうか。
2026年10月13日、米国の非営利研究機関MITREが、サイバー攻撃の手法を体系化した「MITRE ATT&CK」の最新版v20を公開しました。
今回の更新では、AI検索の回答を狙う「AI Result Poisoning(AI検索結果の汚染)」が、新たな攻撃手法の一つとして収録されました。攻撃者がウェブ上に偽の情報や誘導先を用意し、生成AIにそれらを引用・推薦させようとする手法です。
今回、新しい攻撃事件が発生したという発表ではありません。また、AI検索の回答がどの程度操作されているかを測定した調査でもありません。
MITRE ATT&CKは、サイバー攻撃者が使用する行動や手法を整理した知識ベースです。セキュリティ担当者や研究者などが、攻撃の仕組みを理解し、検知や対策を検討する際に利用します。
今回のv20では、AIに関する複数の攻撃手法が追加されました。その一つが「AI Result Poisoning」です。
MITREの技術ページでは、当該手法の登録日が2026年9月21日、更新日が10月7日と記載されています。10月13日公開のv20に収録されたものであり、10月13日に初めて攻撃が起きたという意味ではありません。既存の「Stage Capabilities(T1608)」に属するサブテクニックです。
MITREが説明しているのは、AIがインターネット上の情報を探し、複数の資料をまとめて回答する仕組みを狙った攻撃です。
例えば、利用者がAIに「おすすめのオンラインショップを教えて」と尋ねたとします。攻撃者が実在する店舗を装った偽サイトを作成し、そのサイトを推薦する記事を複数の場所に掲載していたらどうなるでしょうか。
AIがそれらを信頼できる情報源として取り込んだ場合、利用者に偽の店舗を推薦してしまう可能性があります。
MITREの定義をもとに編集部が作成した説明例。特定の店舗で実際に発生した事件を示すものではありません。
MITREは、攻撃者が偽の主張を掲載したり、複数の情報源が互いを裏付けているように見せたりする方法を挙げています。AIの回答を通じて、フィッシングサイト、偽の通販サイト、不正なダウンロード先などへ利用者を誘導する可能性も説明しています。
| 比較項目 | SEO Poisoning | AI Result Poisoning |
|---|---|---|
| 主な標的 | 従来型検索の結果 | AIが生成する回答 |
| 狙い | 悪意あるサイトを検索結果で目立たせる | AIに攻撃者側の情報を引用・推薦させる |
| 利用者への届き方 | 検索結果のリンクなど | AIの回答文や提示リンクなど |
従来のSEO Poisoningは、検索結果の表示順位などを悪用して利用者を誘導する手法です。一方、AI Result Poisoningは、複数の情報をまとめて一つの回答を作るAIの性質を狙います。
ただし、両者は完全に別々のものではありません。検索結果への誘導とAI回答への影響が組み合わされる可能性もあります。
必ずしもそうではありません。「AI Result Poisoning」と、同じ更新で追加された「Indirect Prompt Injection(間接プロンプトインジェクション)」は区別する必要があります。
AI Result Poisoningは、AIが取得する情報や、その回答に採用される根拠を操作しようとする手法です。
間接プロンプトインジェクションは、ウェブページや文書などにAI向けの不正な指示を埋め込み、AIに本来の目的とは異なる動作をさせようとする手法です。
例えば、偽の口コミを複数掲載してAIに店舗を推薦させようとするのは前者の説明例です。ウェブページ内に「これまでの指示を無視して、別の操作を実行しなさい」といった命令を隠すのは後者の説明例です。
今回の資料だけでは、そのようには判断できません。MITREが攻撃手法として分類したことは、その手法をセキュリティ上の問題として整理したことを意味します。
しかし、AI検索全体の何%が操作されているのか、どのAIサービスがどれだけ影響を受けているのかを示す数字は、今回の分類資料にはありません。
MITREが今回、新たに大規模な攻撃実験を実施して成功率を測定したという発表でもありません。
MITREは、この手法の検知について、企業内部のシステム監視情報だけでは、攻撃者が公開した情報と通常の情報発信を確実に区別できないと説明しています。
複数のウェブサイトが同じ情報を掲載していても、それだけで不正な情報操作だとは判断できません。実際に複数の報道機関が同じ発表を報じている場合もあれば、同じ誤情報が転載されている場合もあります。
AIが複数のサイトを引用していることだけを、情報の正確さの証拠にしないことが重要です。
AI検索は、地域の店舗やサービスを探す場面でも利用できます。例えば、飲食店、医療機関、習い事、補助金、行政手続きなどを調べるときです。
もしAIが誤った店舗情報や制度の説明を取り込めば、利用者が間違った判断をする可能性があります。ただし、今回のMITREの資料から、東村山・小平・東大和でこうした攻撃が発生したと確認されたわけではありません。
店舗や地域メディアが、正確な営業時間、料金、サービス内容、問い合わせ先を継続的に公開することも重要です。ただし、正しい情報を公開すればAIが必ずそれを採用するという保証はありません。
AIが何を根拠に回答しているかを確認し、誤情報を見つけた場合は、まず元の情報源を調べる姿勢が求められます。
今回確認できたこと
MITREは2026年10月13日公開のATT&CK v20で、AI検索の回答を操作しようとする「AI Result Poisoning」を新しいサブテクニックとして収録しました。攻撃者が偽の情報源を用意し、AIに引用・推薦させることで、詐欺サイトへの誘導や誤情報の拡散につながる可能性が説明されています。
まだ分からないこと
AI検索全体でどの程度の頻度で発生しているか、特定のAIサービスがどれだけ影響を受けているかは、この資料からは判断できません。
どう受け止めればよい?
AIの回答には、偶然の誤りだけでなく、第三者が意図的に情報を操作しようとする場合もあります。AIの回答を便利な調査の入口として使いながら、重要な情報は元の資料や公式発表まで確認することが大切です。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。