地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

東村山市・小平市・東大和市の地域情報サイト「まいぷれ」東村山市・小平市・東大和市

暮らしと仕事の「?」を調べてみた

AI同士が話し合うと、意見が分かれていく?

(更新)

1,000体のAIによる模擬社会実験

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)

AI同士が意見を交換すると、話し合いを重ねるほど、考え方が分かれていくことがあるようです。

2026年10月8日、清華大学やアムステルダム大学、シカゴ大学などの国際研究チームが、AIエージェント同士の交流を調べた研究論文を発表しました。

掲載されたのは、査読付き学術誌『Nature Communications』です。

研究では、多数のAIに意見を持たせ、互いに交流しながら考えを更新させました。その結果、似た意見を持つAIが集まり、集団全体の意見が分かれていく現象が観察されました。

1,000体主なネットワーク実験のAI数
5系統研究に使用した言語モデル
2026.10.8学術誌での公開日

AI同士の「社会」をつくる実験

研究チームが調べたのは、AIが単独で質問に答える場合ではありません。

複数のAIが交流相手を選び、自分の意見を伝え、相手の話を受けて考えを変える。こうしたやり取りを繰り返すと、集団にどのような変化が起きるのかを調べました。

議題には、政治的な立場や銃規制、中絶禁止など、社会的に意見が分かれる問題が用いられています。

使用したモデルは、GPT-3.5、GPT-4o、ChatGLM、Llama-3、DeepSeek-V3の5系統です。

話し合えば、意見が近づくとは限らない

研究で観察されたのは、AI同士の交流によって意見が一つにまとまるとは限らない、という現象です。

似た意見の相手とつながる傾向が生まれ、ネットワークの中で意見の分極化が進みました。

このように、似た考えを持つ相手と結びつきやすい性質は「同類選好」と呼ばれます。

研究チームは、こうした集団行動が、人間社会で研究されてきた意見形成の仕組みと共通する特徴を持つと報告しています。

なぜ、意見が分かれていくのか

今回のAIは、何も設定されていない状態で自由に行動したわけではありません。

研究者は初期の意見分布や交流の仕組みを設定し、その中でAIに発言や意見の更新を行わせています。

そのため、AIが必ず対立する性質を持つと証明されたわけではありません。

それでも、個々のAIに特定の集団へ分かれるよう直接指定しなくても、交流の積み重ねによって分極化が生じた点は注目に値します。

分極化を抑える方法も検証

研究チームは、分かれてしまった意見を緩和する方法についても検証しました。

交流する相手を多様にする方法や、個々のAIが異なる意見を受け入れやすくする方法などを比較しています。

研究では、交流関係の変更だけでなく、個々のAIの確証バイアスを抑えるような働きかけが重要であることが示されました。

つまり、異なる意見の相手と接する機会を増やすだけで、必ずしも意見の対立が解消するわけではないということです。

私たちの暮らしや仕事には、どう関係する?

今回の研究は、AIが実際のSNSや社会で分断を引き起こしたと証明したものではありません。

ただし、今後AIエージェントがニュースの収集、SNSの運用、情報の推薦、企業の意思決定支援などを担う場面が増えれば、複数のAIが互いに影響し合うことも考えられます。

例えば、複数のAIに同じテーマを調査させたとしても、それだけで多様な意見が得られるとは限りません。

互いの情報を参照する仕組みや、異なる意見をどのように評価するかによって、集団としての結論が偏る可能性もあります。

地域メディアとして考えたいこと

地域のニュースを集めたり、記事の構成を考えたりする際にも、AIは便利な道具になりつつあります。

しかし、複数のAIが同じような情報源を参照し、互いの判断を繰り返し引用すれば、異なる視点が十分に反映されないおそれがあります。

地域メディアにとって大切なのは、AIの回答数を増やすことだけではなく、一次資料を確認し、当事者の声を聞き、異なる立場から情報を確かめることではないでしょうか。

今回の研究から考えたい「?」

AIをたくさん集めて話し合わせれば、より公平で多様な答えが得られるのでしょうか。

今回の研究は、その答えが必ずしも「はい」ではないことを示唆しています。

今回の研究で、まだ分からないこと

研究対象は、実際の人間社会ではなく、研究者が構築したAIエージェントの模擬社会です。

実際のSNSで同じ現象がどの程度起きるのか、人間の意見にどのような影響を与えるのかは、今回の研究だけでは判断できません。

また、初期条件や指示文、使用するモデルによって結果が変わる可能性もあります。

今回確認されたのは、一定の条件下でAI同士の交流から分極化が生じ得るということです。

AIが社会の情報を扱う存在になっていく中で、その集団行動をどのように評価し、検証していくかが今後の課題となります。

参考資料・一次情報

Jinghua Piao ほか
「Emergence of polarization in networks of large language model agents」
Nature Communications、2026年10月8日公開

研究論文(Nature Communications)

DOI:10.1038/s41467-026-78228-y

研究チームの公開コード

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

この記事に関するキーワード

人気のキーワード