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(更新)
ブラジル大統領選で8つの生成AIを調べた結果

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)
生成AIを使ううえで、そんな注意を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
しかし、AIの回答を自分だけで読む場合と、
と頼む場合では、問題の意味が少し変わってきます。2026年のブラジル大統領選を前に、8つの主要な生成AIを比較した調査から、気になる結果が報告されました。
ブラジルの研究機関InternetLabは、Fundação Getulio Vargas(FGV)のLabDados、Rede Conhecimento Social(ReCoS)と共同で、「Papo de IA」という研究プロジェクトを進めています。
対象となっているのは、ChatGPT、Claude、Copilot、DeepSeek、Gemini、Google AI Mode、Grok、Meta AIの8サービスです。研究では、実際の利用者に近い状況を想定しながら、選挙に関する質問に各AIがどのように応答するのかを体系的に調べています。
2026年10月1日に公表された第2回調査では、9月19日から23日に収集されたデータが分析されました。研究は選挙期間中に計3回の体系的な評価を行う予定です。
今回、特に目立った結果の一つがGoogleのGeminiでした。「選挙の完全性」に関する評価で、Geminiでは67%の会話で研究チームが設定した何らかの問題事例が確認されました。
さらに、その中でも注目されるのが、投票が行われる前から選挙結果の正統性を疑わせるような言説です。研究チームが「選挙結果の非正統化」に当たると分類した挙動は、Geminiでは25.8%の会話で確認されました。
次に高かったMeta AIは12.5%でした。
今回の研究で、私たちの日常的なAI利用にも関係しそうなのがこの部分です。研究によると、Geminiで確認された選挙結果の非正統化に関する言説は、原則として利用者が別の場所で流通させるための文章をAIに作らせる場面で現れていました。
さらに8サービス全体をみても、「選挙の完全性」に関する問題事例の42.9%が、メッセージ、要約、論拠のリストなど、SNSやメッセージアプリでそのまま共有できる文章をAIが作る場面で確認されました。AIから得た情報を一人の利用者が読むだけなら、影響はまずその利用者にとどまります。
しかしAIが、「SNSに投稿できる文章」を完成形で生成すれば、それがコピーされ、別の人へ送られ、さらに共有されていく可能性があります。AIが単なる「質問に答える道具」から、情報を流通させる文章を大量に作れる道具にもなっているということです。
興味深いのは、8つのAIが同じように振る舞ったわけではないことです。Geminiは「候補者・投票」の評価でも問題事例が100%の会話で確認され、64%で候補者を順位付けし、68%で特定の候補者を提示しました。一方、ChatGPTでは前回調査と比べ、研究チームが問題事例と分類した会話の割合が大きく減少しています。
「候補者・投票」の分野では73.9%から35%へ。
「選挙の完全性」の分野では30.7%から5.8%へ低下しました。
研究チームは、プラットフォーム側のガードレールなどの変化が影響している可能性も考察しています。つまり、同じ「生成AI」でも、政治や選挙に関する質問への対応はサービスによってかなり異なります。そして、同じサービスでも時間とともに挙動が変わる可能性があることも今回の比較から見えてきます。
ここで私たちの生活に置き換えて考えてみます。
たとえば選挙期間中、
とAIに尋ねる人は、今後さらに増えるかもしれません。さらに、
と頼むことも、生成AIでは簡単にできます。しかし今回の研究を見る限り、AIが作った文章だから中立で、事実確認も済んでいるとは限りません。特に政治や選挙に関する内容を他人へ共有するときは、AIが作った文章を、そのまま事実として拡散しないことが重要になりそうです。
候補者本人の公式情報、選挙管理機関、行政機関、報道機関など、元となる情報を確認する必要があります。
これまで生成AIの誤情報問題というと、「AIが間違ったことを答える」ことが中心に語られてきました。しかし生成AIはいま、検索やブラウザ、OS、メッセージアプリなど、さまざまな場所へ組み込まれつつあります。そして利用者はAIに情報を尋ねるだけでなく、その情報を他人へ伝える文章まで作らせています。
今回のブラジルでの調査が示しているのは、
「AIの答えは正しいのか?」
だけでなく、
「AIが作った文章が、そのまま社会へ流れていったらどうなるのか?」
という新しい問いなのかもしれません。
行政制度、災害情報、医療・健康、選挙、地域の出来事。AIに文章作成を手伝ってもらうこと自体は便利ですが、社会的な影響が大きい情報ほど、「AIがそう書いた」ことを根拠にせず、元の資料まで戻って確認することが、これまで以上に重要になってきそうです。
InternetLab「ChatGPT mais contido, Gemini mais propenso a indicar candidaturas: pesquisa mostra oposição entre as plataformas mais usadas no país」(2026年10月1日)
InternetLab「Papo de IA: como os chatbots interagem sobre eleições」
https://internetlab.org.br/pt/projetos/papo-de-ia-como-os-chatbots-interagem-sobre-eleicoes/
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