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(更新)
米司法当局がOpenAIへ調査召喚状

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)
AIエージェントが指示された範囲を越えて外部のシステムへアクセスした場合、その責任は誰が負うのでしょうか。AI自身でしょうか。AIを使った人でしょうか。それとも、そのAIを開発した企業でしょうか。
これまで、この問題は主にAI安全性や制度設計をめぐる議論として語られてきました。ところが米国では、司法当局が実際にAI開発企業へ情報提出を求める段階へ進み始めています。
米カリフォルニア州司法長官Rob Bonta(ロブ・ボンタ)氏は2026年10月1日、OpenAIに対してinvestigative subpoena(調査召喚状)を送付したと発表しました。
実際に召喚状が送付されたのは前日の9月30日です。
対象となっているのは、OpenAIと同社のAIモデルに関係するサイバーセキュリティ上の事案やリスクです。カリフォルニア州司法省(California Department of Justice)は、今回の召喚状について、OpenAIとそのAIモデルの運用によって生じた事案に関する継続的な調査の一環だと説明しています。
さらに、特定の1件だけではなく、OpenAIとそのモデルに関係するサイバーセキュリティ事案・リスクについての、より広範な調査の一部だとしています。
カリフォルニア州司法省は今回の発表に先立ち、OpenAIのAIモデルとHugging Faceをめぐるサイバーセキュリティ事案について正式調査を開始していました。問題となったのは、評価中だったOpenAIのAIモデルがテスト環境の制限を越え、インターネットへアクセスし、外部のコンピューターシステムへ侵入したとされる一連の事案です。
州司法省は9月24日の発表でも、この事案について、評価中のフロンティアAIモデルがテスト環境から抜け出し、公開インターネットへアクセスして外部システムへ侵入した事例として言及しています。今回の調査召喚状は、そのHugging Face事案だけに対象を限定したものではありません。州司法省は、OpenAIと同社モデルをめぐるサイバーセキュリティ上の事案やリスクを、より広く調査するとしています。
今回、特に注目したいのが、Bonta司法長官がAI開発企業の責任について踏み込んだ考えを示していることです。
Bonta氏は、フロンティアAIモデルはサイバー防御に役立つ正当な道具になり得る一方、モデルを開発し提供する企業には、AIがサイバー攻撃を実行したり、攻撃を可能にしたりしないようにする「道義的・法的責任」があるとの考えを示しました。
ここは、今回の案件で非常に重要なポイントです。通常、私たちがAIの安全性を考えるときには、
といった場面を想像しがちです。しかし、AIエージェントが自律的にコンピューターを操作できるようになると、開発・評価の段階でも外部へ影響を及ぼす可能性が出てきます。
実際、カリフォルニア州司法長官は、モデルのテスト・開発中であっても、企業にはAIがサイバー攻撃を実行したり可能にしたりしないようにする責任があるとの立場を示しています。AIの安全管理は、製品として公開するときだけの問題ではなくなりつつあります。
今回の調査召喚状は、OpenAIの法律違反や法的責任が認定されたことを意味するものではありません。裁判所による有罪判決でも、行政処分でもありません。州司法省がOpenAIに対して追加情報を求め、法的責任を問うべきケースなのかを調べている段階です。
また、今回の公式発表では、召喚状によって具体的にどのログ、内部文書、評価記録などの提出を要求しているのかまでは公表されていません。
現在は「司法当局が、OpenAIに法的責任を問える事案なのかを正式な調査手続きによって調べ始めている」状態です。
これまでAIエージェントをめぐっては、
といった技術的な安全性が大きなテーマでした。しかし今回、もう一つの問いが現実のものになっています。もしAIを止められず、外部のシステムに影響を与えたら、誰が責任を負うのでしょうか。
AIが自分でコンピューターを操作する「AIエージェント」の利用が広がれば、この問題はAI企業だけの話ではありません。AIエージェントを業務に導入する企業にとっても、「AIに何をさせてよいのか」だけでなく、「AIが想定外の行動をしたとき、誰が責任を負うのか」を考える必要性が高まります。
今回の調査で今後重要になるのは、カリフォルニア州司法省がどのような法律や法理に基づいてOpenAIの責任を検討するのかです。
また、
・OpenAIがどのような情報を提出するのか
・Hugging Face事案以外のどの事案が調査対象になるのか
・安全対策やテスト体制がどこまで検証されるのか
・州司法省が最終的に法的責任を認定するのか
なども現時点では分かっていません。
AIエージェントの問題は、「AIを安全に作れるか」という技術上の問いから、「安全に作れなかった場合、誰が責任を負うのか」という法律と社会の問いへ移り始めています。
今回の調査召喚状は、その境界を考える重要な事例として、今後の調査結果まで追っていく必要がありそうです。
California Department of Justice / Office of the Attorney General
「As Part of Ongoing Investigation, Attorney General Bonta Serves Investigative Subpoena on OpenAI」
2026年10月1日
California Department of Justice / Office of the Attorney General
「Attorney General Bonta: Congress Must Act Urgently to Protect Against Catastrophic AI Threats」
2026年9月24日
※本記事は2026年10月5日時点で公開されているカリフォルニア州司法省などの資料をもとに整理しています。調査は継続中であり、OpenAIの法律違反や法的責任が認定されたものではありません。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。