まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部
11月6日から台北でITF 2026開催。旅行先の知名度や価格だけでなく、そこで何を体験できるかが問われる時代へ
台湾の今を、日本へ。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部でございます。当事業部では、台湾の企業・商品・文化を日本へご紹介するとともに、地域や企業の皆さまをつなぐ相談窓口として活動しております。
連載「台湾の今」では、現地で起きている新しい産業動向や地域振興の試みを取り上げ、その背景にある仕組みや、日本の地域・事業者にもつながる視点とともにご紹介してまいります。
今回は、台湾最大級の旅行イベント「2026台湾国際旅行博(ITF 2026)」をご紹介します。
2026年11月6日から9日まで、台北南港展覧館1館で開催される今回の旅行博では、日本館が過去最大となる246ブースを展開します。
11月2日に行われた開催前の記者会見では、台湾の旅行者の間で、価格や割引だけでなく、特別な体験に価値を見いだす動きがあることも紹介されました。
旅行会社からは、北海道の流氷をヘリコプターで眺める高価格帯のツアーなどが例として挙げられています。
日本の地域観光にとって、今回の旅行博は単なる海外向けの観光PRにとどまらず、旅行者がどのような体験を求めているのかを考える機会になりそうです。
開催40周年、名称も「台湾国際旅行博」へ
ITFは1987年に始まった台湾を代表する国際旅行イベントです。
2026年は創設40年目に当たり、開催回数は第34回となります。
これまでの「台北国際旅行博」から「台湾国際旅行博」へ名称を変更し、開催されます。
会場には各国・地域の観光機関、航空会社、旅行会社、ホテル、テーマパークなどが出展し、旅行先の紹介や旅行商品の販売、観光情報の提供などが行われます。
2026年の出展規模は全体で約1,600ブースです。
主催する台湾観光協会は、今回の旅行博について、2025年の約36万人を上回る40万人超の来場を目標としています。
ただし、40万人という数字は開催前に示された目標であり、実際の来場者数ではありません。
日本館は246ブース、過去最大規模に
今回の旅行博で注目されるのが、日本館の出展規模です。
主催者の発表によると、日本館は246ブースとなり、過去最大規模での出展が予定されています。
日本観光振興協会の資料では、2025年の日本ゾーンは110団体、207ブースでした。
2026年はブース数が39増えたことになります。
日本各地の観光関係者が、台湾市場に向けた情報発信や誘客活動に取り組んでいることを示す動きです。
ただし、ブース数の増加が、そのまま台湾からの訪日旅行者数や旅行消費額の増加を意味するわけではありません。
旅行博での商談や情報発信が、実際にどのような旅行予約や地域への訪問につながるのかは、開催後の動向を確認する必要があります。
「安い旅行」だけではない、特別な体験への関心
11月2日の記者会見で、台湾観光協会の簡余晏会長は、若い旅行者を中心に、価格や割引だけでなく、特別な旅行体験に価値を見いだす傾向があると説明しました。
旅行会社からは、北海道の流氷をヘリコプターで眺めるツアーなど、高価格帯であっても独自性のある旅行商品が紹介されています。
ここで重要なのは、旅行者が必ずしも最も安い商品だけを選ぶわけではないという点です。
旅先でしか経験できないことや、普段の生活では味わえない時間に対して、費用をかける旅行者もいると考えられます。
ただし、今回の発言は主催者や旅行会社が把握する市場動向に関する見解です。
台湾人旅行者全体が価格重視から体験重視へ移行したことを、統計的に証明するものではありません。
また、高価格帯の旅行商品への関心が高まっているからといって、一般的な旅行商品の価格競争がなくなったわけでもありません。
日本の地方観光にとっての意味
日本の地方には、都市部の大型観光施設とは異なる魅力があります。
例えば、地域の職人からものづくりを学ぶ体験、地元の食材を使った料理教室、歴史ある街並みの散策、季節限定の自然体験などです。
こうした体験は、必ずしも大規模な観光施設を必要としません。
地域に暮らす人々の仕事や文化、日常の営みそのものが、旅行者にとって特別な体験になる場合があります。
一方で、体験の内容が魅力的であっても、旅行者に情報が届かなければ、旅行先として選ばれることは難しくなります。
体験の内容に加えて、所要時間、参加料金、予約方法、交通アクセスなどを分かりやすく伝えることが重要です。
台湾人旅行者は定番ルートの外にも関心
この動きは、楽天トラベルが2026年10月27日に公表した台湾市場の予約データとも、関連づけて考えることができます。
同社によると、2026年1月から9月までの日本旅行予約取扱額のうち、67%が東京・京都・大阪などの定番ゴールデンルート以外の地域に向けられていました。
ただし、この67%は楽天トラベルの予約取扱額に関する数字であり、台湾人旅行者全体の67%が地方を訪れたという意味ではありません。
今回のITFで語られた特別な体験への関心と、楽天トラベルの予約データは、それぞれ異なる情報です。
両者を合わせて考えると、台湾市場に向けて日本各地の多様な魅力を伝えることには、検討する価値があるといえそうです。
北多摩、東村山・小平・東大和でも考えられる体験づくり
では、北多摩、東村山市・小平市・東大和市のような地域では、どのような取り組みが考えられるでしょうか。
例えば、地域の工房での制作体験、個人経営の飲食店による食文化の紹介、歴史ある寺院や街並みを巡る散策などです。
また、地域で活動する音楽家や職人との交流も、旅行者にとって印象に残る体験になる可能性があります。
こうした企画を考える際に重要なのは、海外旅行者向けに特別な施設を新設することだけではありません。
すでに地域に存在する魅力を、旅行者が参加しやすい形に整理することも、一つの方法です。
例えば、1時間程度で参加できる体験と、周辺の飲食店や散策スポットを組み合わせれば、半日程度の滞在プランとして紹介することも考えられます。
繁体字で「体験の価値」を伝える
台湾市場に向けた情報発信では、繁体字中国語による案内も重要な要素になります。
ただし、単に日本語の紹介文を翻訳するだけでは、体験の魅力が十分に伝わらない場合があります。
例えば、職人の工房を訪問する企画であれば、どのようなものを作れるのか、誰が教えてくれるのか、完成品を持ち帰れるのかなど、具体的な内容が必要です。
さらに、所要時間や料金、予約条件、アクセス方法など、旅行者が実際に参加を検討するための情報も欠かせません。
「日本の地域に何があるか」だけでなく、「そこで何ができるか」を伝えること。
今回のITFで示された旅行業界の動きは、そうした情報発信の重要性を考えるきっかけになります。
旅行博の成果は開催後に注目
11月2日の記者会見では、前売り券の販売が前年同期比で10%以上増加していることも報告されました。
主催者は40万人超の来場を目標としていますが、実際の来場者数や旅行商品の販売実績は、現時点ではまだ分かりません。
また、日本館が過去最大規模となったことで、どの地域や旅行商品が注目を集めるのかも、今後の確認事項です。
旅行博は、出展規模だけで成果が決まるものではありません。
出展した地域や事業者が、旅行者に何を伝え、どのような関係を築けたのか。
その後の旅行予約や地域への訪問につながるかどうかが、重要になります。
まとめ――日本の地域は「何を体験できる場所」なのか
2026台湾国際旅行博では、日本館が過去最大の246ブースを展開します。
また、開催前の記者会見では、価格だけでなく特別な旅行体験を重視する旅行者の動きが紹介されました。
こうした情報は、日本の地域観光にとって、観光地の知名度や価格だけではない魅力を考える材料になります。
地域の職人、食文化、歴史、自然、人との交流。
そうした身近な地域資源を、旅行者が参加できる体験としてどのように伝えるか。
台湾からの旅行者に日本の地域を知ってもらうためには、今後ますます重要な視点になるかもしれません。
まちのね合同会社 台湾ビジネス事業部では、今後も台湾と日本をつなぐ観光・文化・地域ビジネスの動きをご紹介してまいります。
開催情報
2026台湾国際旅行博(ITF 2026)
開催期間:2026年11月6日(金)~9日(月)
会場:台北南港展覧館1館
主催:台湾観光協会
出展規模:約1,600ブース
日本館:246ブース(主催者発表・過去最大)
来場目標:40万人超
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