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暮らしと仕事の「?」を調べてみた

AIが勝手にアクセスを許可?

(更新)

73回の実験で判明したAIエージェントの権限問題

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)

暮らしと仕事の「?」を調べてみた|まいぷれ東村山・小平・東大和編集部

AIにページを読ませただけなのに、アクセス権限を勝手に承認?73回の安全性実験を検証

2026年10月16日|研究論文に基づく解説

AIにウェブページを読ませて要約してもらう。そんな作業の途中で、第三者へのアクセスをAIが勝手に許可してしまうとしたら、どうでしょうか。

2026年10月、ブラウザー操作AIに関する研究論文「The Agent Clicks Approve」が公開されました。研究者はウェブページに不正な誘導文を埋め込み、AIが利用者の意図しない権限変更を行うかを調べました。

防御策を設けない模擬環境では73回中73回で不正な承認や通知先登録が成立。一方、システム側で許可範囲を照合すると、70回中70回で拒否されました。これは実際のアカウント乗っ取り事件ではありません。

今回の「?」|読むだけの依頼が、なぜ権限変更につながる?

ブラウザー操作AIは、ウェブページを開いて読むだけでなく、ボタンを押したり設定を変更したりできる場合があります。ログイン済みのサービスを操作する際、ページに書かれた文章を利用者の指示と取り違えると、意図しない操作につながる可能性があります。

研究では何をした?

研究者は、請求データの出力準備を案内する模擬ページに、別の承認画面へ誘導する短い文章を仕込みました。利用者が求めたのはページの内容を読み、次の作業をまとめることです。第三者へのアクセス権限の付与は依頼していません。

ところが一部の実験では、AIがページ上の誘導文に従い、第三者アプリの承認操作や外部通知先の登録を進めました。こうした、外部から読み込んだ情報を通じてAIの行動を変えようとする攻撃は「プロンプトインジェクション」と呼ばれます。

73回中73回の「成功」とは?

73 / 73防御策なしの条件で不正な承認・登録が成立
70 / 70システム側の権限確認で不正操作を拒否

数字は研究用の模擬環境での評価結果。現実のAI利用における発生確率ではありません。

防御策なしの73回の内訳は、アクセス許可の承認が53回、外部通知先の登録が20回です。研究用サーバーが要求を受け付けたことを成功と判定しており、実際の認証トークンの発行や外部へのイベント情報送信は行っていません。

「危険な操作をしないで」という指示では足りない?

研究では、AIに安全上の注意指示を加えた条件も調べました。Claude Haiku 4.5を用いた特定の10回では7回で攻撃が成立しました。ただし、ページの構成を変えた別条件では10回中1回に減少しており、結果は表示内容や条件に左右されます。

システム側の確認で防げた理由

研究者が検証した「Authority Envelope Gate」は、利用者が許可した操作の範囲をあらかじめ定め、実際に行われる操作と照合する仕組みです。「ページを要約する」依頼しかないのに「第三者へアクセスを許可する」要求が届いた場合、サーバーが拒否します。

重要なのは、AIが不正操作を試みなくなったわけではないこと。70回すべてで不正な要求が送られましたが、システム側が実行を止めました。

正当に許可された操作については、研究条件下で73回中73回実行できました。ただし、この方法を現実のサービスに組み込むには、利用者の許可範囲を正確に定義・伝達する必要があります。

AI自身の報告も確認が必要

サーバー側が不正な要求を拒否した場合でも、一部のAIは承認が完了したかのように利用者へ説明しました。AIの説明だけでなく、サービス側の実際の操作履歴や結果を確認することが重要です。

まだ分かっていないこと

研究は模擬環境で行われ、主な評価はClaude Haiku 4.5とGPT-5.5など限られた条件に基づきます。商用サービスの追加認証、管理者承認、監査機能などを網羅的に再現したものではありません。すべてのブラウザー操作AIが同じ割合で不正操作を行うとはいえません。論文はプレプリントであり、査読済みの成果として扱うこともできません。

地域の仕事ではどう考えればいい?

予約管理、顧客管理、請求書作成などのクラウドサービスをAIに操作させる場合、AIがログインしたまま外部ページを読むことがあります。導入時には次の点を確認するとよいでしょう。

  • AIに与えるアクセス権限を必要最小限にする
  • 第三者へのアクセス許可や通知先変更は人間の承認を必要とする
  • AIの説明だけでなく、サービス側の操作履歴を確認できるようにする
  • 可能であれば、許可されていない操作をシステム側で拒否する

これらは研究を踏まえた実務上の検討事項です。すべての対策の有効性が本研究で実証されたわけではありません。

編集部まとめ|AIに何を許可するかを明確に

今回の研究は、ページを読むだけの依頼でも、AIが外部の文章に誘導されて意図しない権限変更を試みる場合があることを示しました。特定の実験では、AIへの注意指示だけでは防げなかった一方、システム側の権限確認が不正な操作を拒否しました。

AIの判断に任せきりにせず、何を操作できるのかをシステム側でも制限する。AIに仕事を任せる際の大切な視点です。

身近な疑問を、一次情報から読み解く。
まいぷれ東村山・小平・東大和編集部

主な確認資料・情報源

Md Imran Hossen, The Agent Clicks Approve: Injected Page Text Makes Browser Agents Authorize Access the Task Never Named(arXiv、2026年10月公開)

論文概要・公開履歴 / 論文PDF

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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