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暮らしと仕事の「?」を調べてみた

EUで15歳未満はSNS禁止?

(更新)

欧州の新ルール案を確認してみました

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)

暮らしと仕事の「?」を調べてみた
身近な疑問を、一次情報から読み解く。

 

「EUでは、15歳未満の子どもがSNSを使えなくなる」

 

そんなニュースを見かけたら、「子どものSNSが全面的に禁止されるの?」と思うかもしれません。2026年9月17日、欧州委員会は、子どものオンライン上の安全を守るための新しい規則案「EU KIDS Act」を公表しました。

 

確かに「15歳」という年齢は出てきます。

 

さらに対象はSNSだけではありません。動画サービスやオンラインゲーム、アプリストア、そして子どもが利用するAIチャットボットにも、新しいルールを設けようとしています。

 

今回は、実際に何が提案されているのか、欧州委員会の資料を確認してみます。

※この記事は2026年9月21日時点で確認できる情報をもとにしています。

 

今回の「?」

 

EUで15歳未満は、本当にSNSを使えなくなるのでしょうか?まず重要なのは、EU KIDS Actは2026年9月17日に欧州委員会が公表した法案(規則案)です。現時点ですでにEU全域で「15歳未満のSNS利用禁止」が施行されたわけではありません。

 

欧州委員会はこの案を欧州議会とEU理事会に提出しており、これから立法手続きが進められます。

 

「15歳未満は全部禁止?」

 

欧州委員会の公式FAQを見ると、年齢によって段階が分けられています。

 

・13歳未満
原則としてSNSアカウントを持つことはできません。

 

・13歳以上15歳未満
保護者が設定・管理する制限付きアカウントを利用できる仕組みが提案されています。このアカウントでは保護者向けの管理機能が常に有効となり、利用時間は1日最大1時間。ほかの利用者とのつながりについても保護者の承認が必要になります。

 

・15歳以上
自分自身のアカウントを開設できるようになります。ただし、18歳未満については、サービス側にも子どもが安全に利用できるような設計が求められます。

 

つまり、「15歳未満はインターネットもSNSも全面禁止」という制度ではありません。年齢に応じて、利用できる範囲を段階的に広げていく考え方です。

 

「年齢制限」だけの法律ではない

 

今回、資料を読んでみて特に気になったのはこちらでした。EU KIDS Actの大きな目的は、子どもに「使うな」と求めるだけではなく、サービスを提供する側にも設計を変えるよう求めることです。欧州委員会は「safe by design(設計段階から安全にする)」という考え方を掲げています。

 

例えば、未成年者向けには、

・延々とコンテンツが表示される「無限スクロール」
・自動再生を際限なく続ける仕組み
・利用者をサービスへ戻そうとする通知
・毎日利用しないと不利益を感じさせる「ストリーク」
・過度な利用につながる仕組み

などを制限する案が示されています。

 

つまり、「子どもがSNSを使いすぎないよう家庭で注意しましょう」という考え方だけではなく、子どもが長時間使い続けたくなるようにサービスそのものが設計されていないか、というところまで踏み込んでいます。

 

「おすすめ」の仕組みも変わる?

 

SNSや動画サービスでは、利用履歴などをもとに次々とコンテンツが表示されます。EU KIDS Actでは、未成年者向けの「おすすめ」を決めるシステムについてもルールが提案されています。欧州委員会の説明では、子ども向けの推薦システムは、利用時間を伸ばすことではなく、安全性や質などを重視するよう求めています。

 

また、利用者を次々と特定の内容へ誘導していく、いわゆる「rabbit holes(ハマってしまう状態)」を防ぐ考え方も示されています。ここまで見ると、今回の法案が「SNSの年齢制限」だけではないことが分かります。

 

 

AIチャットボットも対象になっている

 

さらに注目したいのがAIです。EU KIDS Actでは、子どもが利用するAIチャットボットや「AIコンパニオン」についても規定が盛り込まれています。AIコンパニオンとは、人と会話するような形で継続的にやり取りするAIサービスなどを指します。

 

欧州委員会の公式FAQでは、未成年者が利用するAIについて、人間関係を再現するような設計によって、感情的な依存を生じさせる可能性がある仕組みを認めない方針が示されています。さらに、原則として過去の会話を次の会話へ持ち越さないことや、サービス開始前に子どもへのリスクを検証し、開始後も問題が起きていないか監視することなどが盛り込まれています。

 

ゲームやオンラインサービスの中に組み込まれたAIチャットボットについても、自動的にオンにしたり、子どもに利用を促したりしないよう求めています。SNSの話だと思って調べ始めましたが、実際には子どもとAIの付き合い方まで対象にした制度案でした。

 

年齢はどうやって確認するの?


ここで疑問が出てきます。「13歳」「15歳」と決めても、生年月日を違う日付で登録すればいいのではないでしょうか。EU KIDS Actでは、生年月日を自己申告するだけでは十分ではないとしています。一方で、SNS会社へ身分証明書を直接渡す仕組みにするわけでもありません。

 

欧州委員会は、サービス事業者とは独立した年齢確認の仕組みを利用し、

「この人が必要な年齢以上かどうか」

という情報だけをサービス側へ伝える方法を想定しています。

 

EUの年齢確認アプリや、将来的にはEuropean Digital Identity Wallet(欧州デジタルIDウォレット)の利用も想定されています。年齢確認を厳しくすると、今度は個人情報やプライバシーの問題が出てきます。

 

そのため、「子どもの安全」と「利用者のプライバシー」をどう両立するかも、この制度の重要なポイントになっています。

 

日本はどうなっている?

 

では、日本でも15歳未満のSNS利用が禁止されるのでしょうか。2026年9月21日時点で、日本でEUと同じ「15歳未満」というSNS利用ルールが決まった事実は確認できませんでした。一方、日本でも子どものインターネット利用をめぐる制度の見直しは進んでいます。

 

こども家庭庁では2026年1月から、「青少年インターネット環境整備法」の在り方を検討するワーキンググループを開催しています。

 

そこでは、海外のSNS規制も検討材料の一つとして扱われています。6月の会合では事業者の役割や法改正に向けた論点などが議論され、8月まで継続して会合が開催されています。また、こども家庭庁は現在も、家庭でのペアレンタルコントロールやフィルタリング、子ども自身がインターネットを適切に利用する力を身につけることなどを呼びかけています。

 

「EUで始まった話だから日本には関係ない」

 

とも言い切れません。海外の制度を参考にしながら、日本でどのような仕組みが適切なのかという議論自体は進んでいます。

 

東村山・小平・東大和で暮らす私たちには?


EUの法律なので、東村山市、小平市、東大和市で暮らす子どもたちのSNS利用が、この法案によって直接制限されるわけではありません。地域との接点を考えると、重要なのは「15歳」という数字そのものよりも、子どものインターネット利用を誰の責任で安全にするのかという考え方ではないでしょうか。

 

これまでは家庭で、

  • 「スマホは1日○時間まで」
  • 「知らない人とやり取りしない」
  • 「夜はスマホを使わない」

といったルールを決めることも多かったと思います。EUの今回の提案は、サービスを作る企業側にも、子どもが過度に使い続けたり、危険な相手と接触したりしにくい仕組みを最初から作る責任を求めるという方向です。

 

これは地域の家庭だけでなく、学校での情報教育、子ども向けサービスを提供する事業者、行政による啓発などを考えるうえでも参考になる動きです。

 

確認できたこと


2026年9月17日、欧州委員会がEU KIDS Actを提案したことは確認できました。13歳未満はSNSアカウントを持たず、13歳以上15歳未満は保護者管理の制限付きアカウント、15歳から自分自身のアカウントを持てるという段階的な仕組みが提案されています。また、無限スクロールなどの過度な利用につながる設計や、子ども向けの推薦システム、AIチャットボットなどにも新しいルールを設ける内容になっています。

 

まだ分からないこと

 

EU KIDS Actは、まだ成立・施行された法律ではありません。欧州議会とEU理事会による立法手続きがこれから行われるため、最終的な内容が変更される可能性があります。また、実際に年齢確認がどのように運用されるのか、サービス事業者がどこまで対応できるのか、子どもの利用行動がどの程度変わるのかも、現時点では分かりません。

 

日本についても、現在制度の見直しが進められていますが、EUと同じ仕組みになると決まったわけではありません。今後の議論を確認する必要があります。

 

編集部まとめ

 

「EUで15歳未満はSNS禁止」という言葉だけを見ると、子どもからSNSを一律に取り上げる制度のようにも見えます。しかし実際には年齢ごとに利用方法を分けながら、サービス提供者にも子ども向けの設計を変えるよう求める、かなり広い制度案でした。

 

そして対象はSNSだけではなく、動画、ゲーム、アプリストア、AIチャットボットにも及びます。一方で、これはあくまで2026年9月17日に欧州委員会が示した提案です。

 

まだ、「EUでは15歳未満のSNSが禁止された」とは言えません。

 

日本でも子どものインターネット環境をめぐる制度の見直しが進んでいます。EUの制度がそのまま日本に導入されるわけではありませんが、子ども自身や家庭だけに安全対策を求めるのか。それとも、サービスを作る側にも安全な設計を求めるのか。今回のEUの動きは、日本で子どもとSNSやAIとの付き合い方を考えるうえでも、注目しておきたい動きだといえそうです。

 

主な確認資料・情報源


欧州委員会(2026年9月17日)
「EU KIDS Act to restrict social media platforms’ access to children in the EU」
EU KIDS Act公表時の公式発表。年齢区分や制度の基本的な考え方を確認

https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/eu-kids-act-restrict-social-media-platforms-access-children-eu

欧州委員会(2026年9月17日)
「Proposal for EU KIDS Act - EU Keeping Internet Digital Spaces Accountable and Trustworthy」
EU KIDS Actの規則案および関連資料。

https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/proposal-eu-kids-act-eu-keeping-internet-digital-spaces-accountable-and-trustworthy

欧州委員会(2026年9月17日)
「The KIDS Act explained」
13歳未満、13~14歳、15歳以上の扱い、年齢確認、SNSの設計、AIチャットボットなどの詳細を確認。

https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/faqs/kids-act-explained

こども家庭庁(2026年)
「青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ」
「令和8年 春のあんしんネット・新学期一斉行動」

https://www.cfa.go.jp/councils/internet-kaigi

 

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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