東村山の学校給食を知る|ひがっしーキッチンと食を支える人たち
(更新)
ひがっしーキッチン開設の舞台裏

施設外観
東村山の学校給食を知る / 第1回
2026年9月1日、東村山市の中学校給食が 大きく変わりました。
これまでの中学校では、家庭から持参する お弁当と、注文制の「スクールランチ」を 選ぶ方式が採用されていました。
新しい学校給食センター 「ひがっしーキッチン」 の稼働によって、食缶方式による 全員給食が始まりました。
※提供規模は東村山市関係者への取材による 2026年10月時点の概数です。
なぜ今、給食の仕組みを変えたのでしょうか。 そして、新しい施設ではどのような工夫が 行われているのでしょうか。
まいぷれ東村山・小平・東大和編集部が、 東村山市教育委員会への取材を通して、 その背景を伺いました。

東村山市教育委員会 教育部教育政策課の和久井主任(左)と大澤主査(右・教育政策担当)。中学校全員給食の導入経緯や「ひがっしーキッチン」の取り組みについてお話を伺いました。
東村山市では、以前から中学校給食のあり方が 議論されてきました。
議会に全員給食に関する陳情が提出されたことに加え、 給食費の無償化という政策の動きも重なりました。
取材によると、スクールランチの利用は 以前から半数程度に達しており、 無償化後には需要がさらに増えたといいます。
市の担当者によると、従来の方式について 実施した生徒アンケートでは、 約9割が「変更しなくてもよい」 と回答していた そうです。
それでも全員給食への移行後には、 温かい料理や汁物を喜ぶ声が 寄せられています。
制度変更前の意向と、 実際に新しい給食を体験した後の反応。
その違いも、今回の取り組みで 興味深い点です。
調理設備
ひがっしーキッチンの大きな特徴が、 民間事業者の施設整備と運営のノウハウを 活用する「民設民営方式」です。
市が温かい全員給食の早期実現を目指す中、 2026年9月から提供を開始できる 事業スキームの提案がありました。
施設内部では、食材の受け入れ、 下処理、調理、配送までの作業が 効率よく進められるように、 設備や動線が考えられています。
市の担当者は、現場の作業効率を踏まえた 施設づくりを、民間事業者の強みの 一つとして挙げていました。
給食
新しい給食で変わったことの一つが、 食事の温度です。
従来のスクールランチでは提供が難しかった 温かい汁物も、現在は献立に 取り入れられています。
学校への配送には、保温性を高めた 二重構造の食缶を使用します。
食缶方式では、生徒たちが教室で 食事を取り分けるため、 食べる量を調整したり、 おかわりをしたりすることもできます。
温かい給食や汁物がうれしい。 おいしい。
取材では、こうした生徒たちの 前向きな反応が紹介されました。
担当者も、開始後の反応に安心したと 話していました。
野菜を切る機械
特大ヘラで具材を混ぜます
お米は姉妹都市・新潟県
柏崎市産の「こしいぶき」を
使用
ひがっしーキッチンでは、 手作りのよさを大切にした 給食づくりを目指しています。
例えば玉ねぎは、皮をむいた状態で 仕入れる方法もありますが、 取材では、皮むきから施設内で 行うことへのこだわりが語られました。
だしを素材から取ることや、 乾燥大豆を戻して煮るような 手間のかかる調理も紹介されました。
献立づくりには市の栄養士が関わっています。 地場産野菜の受け入れを想定した 冷蔵設備や洗浄設備も整えられました。
手作りのおいしさと、 安全な給食づくりを両立するための 工夫が重ねられています。

新しい給食センターが完成すれば、 すぐに全員給食が始められるわけではありません。
学校側にも、給食を受け入れるための 準備が必要でした。
特に課題となったのが、校内での運搬です。 エレベーターのない学校では、 配膳スタッフが階段を使って 給食を各階へ運ぶ必要があります。
開始前には、学校ごとの動線を 何度も下見して確認し、 運搬方法や作業の流れを検討したそうです。
教職員への説明も行われ、 生徒たちも新しい給食当番に 少しずつ慣れていくことになりました。
配る量の目安が難しかったり、 後片付けに時間がかかったりすることもあります。
一方、個別のお弁当では把握しにくかった 食べ残しの状況にも、 教職員が目を向けやすくなったといいます。
給食の変更は、調理施設だけでなく、 学校の昼食時間そのものを変える取り組み。
今回の取材で印象的だったのが、 給食を届ける人と生徒たちとの関係です。
学校で配膳を担当するスタッフに、 生徒が声をかけてくれることが あるそうです。
中には、仕事を応援する手紙が 届いたこともあったと伺いました。
給食をつくる人、届ける人、配る人。 生徒たちが、食を支える大人の仕事を 身近に感じる機会も生まれています。
毎日の給食を通して、 人と人との新しいつながりも生まれている。

ひがっしーキッチンの愛称とロゴ
親しみやすい施設の愛称にも、 生徒たちが関わっています。
市立中学校全校から、 新しい給食センターの愛称を募集。
候補を一覧にまとめ、 生徒たちが投票。
投票結果は僅差だったそうです。
教育委員会での手続きを経て、 「ひがっしーキッチン」に決定。
なお、給食だよりには 「ランチだよ!全員集合」という 別のタイトルが使われています。
施設の愛称と給食だよりのタイトルは、 それぞれ異なるものです。
学校給食は、栄養を摂取するためだけの 時間ではありません。
全員給食への移行によって、 同じ献立を囲みながら 食について学ぶ機会を 広げやすくなったといいます。
地元の野菜がどのようにつくられるのか。 だしの味や食材の特徴には どのような違いがあるのか。
日本の食文化に加え、 世界のさまざまな料理に触れることも、 食への関心を広げるきっかけになります。
ひがっしーキッチンでは、 モニターを備えた見学・学習スペースを 学校のクラス単位で活用する構想もあります。
一般公開については、 取材時点では予定されておらず、 まずは学校の学習活動を 優先する方針とのことでした。
また、給食の写真は市のホームページや 公式Xでも発信されています。
家庭でもその日の給食を 話題にしてほしいという思いがあるそうです。
2026年9月に始まった東村山市の中学校全員給食。
新しい施設や設備が整った一方で、 学校での配膳、食べ残しへの対応、 食育活動など、今後も運用を重ねながら 取り組んでいく課題があります。
今回の取材では、 地元の黒焼きそばや地域の生産者が育てる サツマイモなど、地域ならではの 食材や料理を給食につなげる可能性についても 話題に上りました。
こうした地域の食文化と学校給食との つながりが、今後どのように 広がっていくのかも注目したいテーマです。
※上記は取材時に話題に上った内容であり、 献立への採用が決定したことを示すものではありません。
今回の取材で見えてきたのは、 給食の仕組みを変えるために、 多くの準備と工夫が積み重ねられてきたことです。
温かい給食を届けるための設備、 食材の味を大切にする調理、 学校での配膳準備。
そして、生徒から届いた 感謝や応援の言葉。
毎日の給食は、 さまざまな人々の仕事によって 支えられています。
この特集「東村山の学校給食を知る」では、 これからも学校給食に関わる人々や 取り組みを取材し、 地域の皆さんへお届けしていきます。
次に給食の話題が家庭で出たとき、 その一食を支えている人たちのことも、 少し思い浮かべてもらえたらうれしく思います。
取材協力:東村山市教育委員会
取材・編集:まいぷれ東村山・小平・東大和編集部
※2026年10月の取材内容をもとに構成。 取材時の発言は趣旨を損なわない範囲で 要約しています。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

東村山市の中学校給食が変わった【学校給食を知る①】
ひがっしーキッチン開設の舞台裏