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暮らしと仕事の「?」を調べてみた

AIに悩みを相談すると孤独になる?

(更新)

中学生2,342人の研究で見えた「AIとの関係」

図:公開資料をもとに編集部作成(生成AIを使用)

AIに悩みを相談すると、孤独になる? 中学生2,342人の研究を読んで


AIは、私たちの暮らしや仕事をどう変えるのか。ChatGPTなどの生成AIは、調べものや宿題だけでなく、少しずつ「話し相手」にもなり始めています。

  • 友人関係で悩んだとき。
  • 学校で嫌なことがあったとき。
  • 家族には言いづらいことがあるとき。

いつでも返事をしてくれるAIに話してみる。それによって気持ちが楽になることもあるかもしれません。では、AIを「感情的な話し相手」として使い続けた場合、子どもの孤独感はどうなるのでしょうか。

 

米国の中学生2,342人を追跡した研究から、気になる結果が報告されています。

 

米国の中学生2,342人を約5か月追跡

 

研究を行ったのは、University of North Carolina at Chapel Hill(ノースカロライナ大学チャペルヒル校)のAnne J. Maheux氏らの研究チームです。研究は、米国南東部のある州にある22の中学校、6~8年生2,342人を対象に実施されました。2025年12月と2026年4~5月の2回にわたり調査し、AIチャットボットの利用状況と、孤独感、社会的不安、抑うつ症状などとの関係を調べています。

 

論文は2026年8月3日にプレプリントとして公開されており、現時点では査読前です。

 

AIを使う中学生は62%から75%へ

 

調査では、過去1か月にAIを利用した生徒の割合が、最初の調査時点の62%から、約5か月後には75%へ増加していました。AIはすでに、一部の子どもだけが使う特別な技術ではなくなりつつあることがうかがえます。

研究チームはさらに、単に「AIを使ったか」だけではなく、子どもたちがAIとの関係をどのように感じているかも調べました。

 

その結果、AIとの関係について、

  • 感情的な親密さ・話し相手としての利用
  • 批判されず受け入れてもらえる感覚
  • AIへの過度な依存

という3つの側面が抽出されました。「感情的に親密な話し相手」にしていた子ほど、その後の孤独感が高かった
特に注目されたのが、「Emotional Intimacy and Companionship(感情的な親密さ・話し相手としての関係)」です。AIとの間にこうした関係を強く感じていた中学生ほど、約5か月後に「学校での孤独感」が高くなる方向の関連が確認されました。

 

10月2日のVoxのインタビューで、研究を率いたMaheux氏は、単に「もともと孤独な子どもがAIを使っている」という関係だけではなく、AIとの感情的な関係が先にあり、その後に孤独感が高まる方向性が今回のデータから示されたと説明しています。

 

ただし「AIが孤独を引き起こした」とはまだ言えない


ここは、この研究を読むうえで最も重要な点です。今回の研究は、AIを使わせるグループと使わせないグループを無作為に分けた実験ではありません。実際の中学生を追跡した「観察研究」です。

 

そのため、

「AIとの会話が原因で子どもが孤独になった」

と因果関係が証明されたわけではありません。

 

家庭環境、友人関係、社会的不安、本人の性格、学校生活、利用できる支援など、孤独感にはさまざまな要因が関係します。また、研究は米国の1州の中学生を対象としているため、日本の子どもたちにも同じ結果が当てはまるとは限りません。AIとの関係について使われた質問項目も研究チームが作成したもので、これまでに十分検証された尺度ではないという限界があります。

 

大人を対象にした研究でも似た関係が


一方で、AIとの交流と孤独について気になる結果は、子どもだけで報告されているわけではありません。2026年に学術誌『Psychological Science』に掲載された研究では、西側4か国の成人2,149人を12か月にわたって追跡しました。

 

その結果、社会的な目的でチャットボットを利用することが増えると、その後の「感情的な孤立感」が高まることを予測する関係が確認されました。一方、より幅広い「社会的つながり」の尺度では、社会的つながりが弱い人ほど後にチャットボット利用が増える関係は確認されたものの、チャットボット利用がその後の社会的つながりの低下を有意に予測したわけではありません。

 

研究者自身も探索的分析であるとして、強い結論を出すことには慎重です。それでも、中学生と成人という異なる集団の研究から、AIを「社会的・感情的な話し相手」として使うことと孤独との関係を検討するデータが少しずつ蓄積され始めています。

 

子どもはすでにAIへ「感情的な相談」をしている


これは将来だけの話でもありません。Pew Research Centerが2026年2月に発表した米国の13~17歳を対象とした調査では、12%がAIチャットボットを「感情的な支援やアドバイス」を得るために利用したことがあると回答しています。

 

AIはすでに、「宿題を手伝ってくれる道具」だけではなく、「悩みを聞いてくれる相手」にもなり始めています。

 

AIに相談すること自体が悪いのか?


では、子どもがAIに悩みを相談することを禁止すればよいのでしょうか。今回の研究から、そこまでの結論を出すこともできません。AIとの会話によって、自分の気持ちを言葉にできたり、誰にも話せなかった悩みを整理できたりする可能性もあります。

 

問題は、「AIに相談したか、しなかったか」という二択だけではないのかもしれません。重要なのは、AIが人とのつながりを補っているのか。それとも、AIが人とのつながりを少しずつ置き換えているのか。という違いではないでしょうか。

 

学校の「AIリテラシー」も変わっていく?


これまで学校や家庭でのAI利用というと、

「宿題に使っていいのか」
「AIの答えをそのまま信じてはいけない」
「個人情報を入力してはいけない」

といった問題が中心でした。

 

しかしAIが「話し相手」になっていくのであれば、それだけでは足りなくなる可能性があります。AIは人間のように返事をします。否定せず、いつでも話を聞き、利用者に合わせた言葉を返すこともできます。

だからこそ子どもに必要なAIリテラシーも、「正しく使えるか」だけではなく、「AIとどんな関係をつくるのか」まで考える段階に入りつつあるのかもしれません。

 

AIに悩みを相談すると、子どもは孤独になる?

 

現時点での答えは、「そう断定することはできない。ただし、AIを感情的に親密な話し相手として利用することと、その後の孤独感の高まりとの関連を示す縦断研究が出てきた」です。

 

AIに相談することそのものを怖がるのではなく、AIとの会話が、その子を現実の人とのつながりへ戻しているのか。それとも、人とのつながりの代わりになり始めているのか。これから家庭や学校で考えるべきなのは、そんな「AIとの距離感」なのかもしれません。

 

主な確認資料

 

Maheux AJ, Traver JM, Burnell K, et al.「Adolescent AI Use and Evaluations: Prospective Bidirectional Associations with Internalizing Symptoms」PsyArXiv(プレプリント)
https://osf.io/preprints/psyarxiv/uw2k5_v1
Vox「AI found a way to make middle school worse」(2026年10月2日)
https://www.vox.com/technology/504854/chatgpt-claude-character-ai
Association for Psychological Science / Psychological Science「How Does Turning to AI for Companionship Predict Loneliness and Vice Versa?」
https://www.psychologicalscience.org/journals/psychological-science/09567976261427747/
Pew Research Center「How Teens Use and View AI」(2026年2月24日)
https://www.pewresearch.org/internet/2026/02/24/how-teens-use-and-view-ai/

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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